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’22参院選 電力供給と脱炭素 原発に頼らぬ両立の道を

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 ロシアのウクライナ侵攻で、世界的にエネルギー不安が高まる中、電力の安定供給と脱炭素の取り組みをどう両立させるのか。各党の参院選公約からは、その戦略がうかがえない。

 猛暑が続き、電力需給が逼迫(ひっぱく)している。政府は家庭や企業に節電を求め、老朽化した火力発電所を再稼働させた。

 海外でも、エネルギーの「脱ロシア依存」を進めるドイツやオランダなどが、一時的に石炭火力の発電量を増やすことを決めた。

 しかし、なし崩し的に化石燃料に頼れば、温室効果ガス排出を「2050年までに実質ゼロにする」という温暖化対策の目標達成が危うくなる。

 産業革命後の気温上昇が1・5度を超えると、大規模な災害や食糧難など深刻な被害が起きると予想されている。既に1・1度上昇しており、一刻の猶予も残されていない。

 そうした中、発電時に温室効果ガスを排出しない原発を巡る議論が活発になっている。

 自民党は公約で、安全が確認された原発の「最大限の活用」を打ち出す。東京電力福島第1原発事故以来の「依存度を下げる」という文言は消え、原発回帰の姿勢がにじむ。日本維新の会、国民民主党も同様の立場だ。

 しかし、現実的といえるのだろうか。

 福島の事故では、放射能汚染の甚大な被害を経験した。使用済み核燃料の処分はめどが立っていない。安全対策の費用が膨らみ、発電コストも上がっている。

 求められるのは、再生可能エネルギーを増やし、化石燃料の使用を減らすためのシナリオだ。

 立憲民主党や共産党は、50年に電力のすべてを再生エネで賄うとの方針を公約に盛り込んでいる。

 ただし、再生エネを有効に活用するための環境は整っておらず、すぐに電力の安定供給を担うことは難しい。高性能の蓄電池の開発なども含め、主力電源化に向けた取り組みを着実に進めなければならない。

 人々の命と暮らしを守るのが、政治の役割である。各党は、目の前の電力不足への対策と、長期的な脱炭素戦略をともに示す責任がある。

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