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荒川洋治・評 『日本の地下水 ちいさなメディアから』=鶴見俊輔・著

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 (編集グループSURE・2860円)

誌面の底流にあるものを読みとる

 生誕百年を迎えた哲学者、鶴見俊輔(一九二二―二〇一五)が一九六〇年から一九八一年、「思想の科学」に連載した時評集。全国各地の小雑誌(約六〇誌)を各五ページほどで簡潔に紹介。社会、思想、科学、経済、文化をめぐる多様な誌面の底流にあるものを読みとる。以下、主な雑誌。括弧内のデータは当時のもの。一部表記を変え、簡略化。

 「福沢研究」(六四ページ、不定期刊、八号まで、一〇〇円、慶応義塾有真寮内、福沢先生研究会)は、昭和一五年創刊、一八年中絶、二五年再開、三二年中絶。「この中絶の意味を考えてみたい」と鶴見氏。戦中は福沢諭吉の精神を説く余地なし、終戦直後は急進的社会主義の陰に。次の中絶は日本がほぼ安定、その体制を批判するには無力とされたためだ。常識的、民衆運動の力を信じない、傍観者的などとする、学生たちの福沢批判と、…

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