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兵庫県尼崎市の全市民約46万人分の個人情報が入ったUSBメモリーが一時所在不明になった問題。紛失したのは市の業務を孫請けした会社の男性社員で、この業務の「リーダー的存在」だった。男性は約20年前から市のIT関連業務に携わっていたが、市は男性の所属先を把握せず、数々のルール違反に気付かなかった。複雑な下請け構造の下、ずさんな管理がなぜまかり通ったのか。市は4日に調査委員会の初会合を開き、実態解明を進める。
紛失が発覚したのは6月23日。業者は東京都の情報システム大手「BIPROGY(ビプロジー)」で、住民税非課税世帯などに対する新型コロナウイルス臨時特別給付金の支給業務を市から受託した。当初、紛失したのは協力会社の40代男性と発表された。
USBメモリーには給付金の対象世帯だけでなく、全市民の住所や氏名、生年月日など住民基本台帳に記されたデータが含まれており、大騒動となった。
詳しい経緯はこうだ。大阪府吹田市にあるビプロジーのコールセンターで尼崎市民からの問い合わせに対応するため、2022年度分のデータを移す必要があった。21日夕、男性が尼崎市役所近くの市政情報センターでUSBメモリーにデータを保存。かばんでコールセンターへ運び、ビプロジーの社員ら4人でデータを更新した。
その後、男性はUSBメモリーをかばんに入れたまま、吹田市内の居酒屋で4人で飲酒。泥酔して路上で寝込み、22日、かばんごとなくしたことに気付いて交番に届け出た。24日午前、男性は警察官と周辺を捜索し、吹田市内のマンション敷地内でかばんを発見。USBメモリーにかけられたパスワードが変更された形跡はなく、情報流出は確認されなかった。
市の許可を得ず、複数の別会社に再委託
ところが、問題はそれで終わりではなかった。ビプロジーは当初、男性について、業務を再委託したIT関連会社「アイフロント」(東京)の社員だと説明したが、26日にはアイ社が再々委託した別会社の社員だったと訂正。市の許可を得ず、再委託していたことも判明した。
さらに、アイ社とは別の会社にも業務の一部を再委託し、少なくとも4社が業務に関係していた。データ更新などの作業に専門技術が必要なためだというが、複雑な下請け構造を市は把握していなかった。
ビプロジーの担当者に…
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