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日大の林新理事長 古い体質を変えられるか

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 トップの専横を許してきた古い体質を変えなければならない。

 不祥事に揺れた日本大学で、新体制が発足した。理事長に就いた作家の林真理子氏は「間違ったことを間違っていると言える体質にしたい」と改革に取り組む決意を表明した。

 理事会は刷新された。22人の理事のうち、3分の1以上が外部の有識者で、女性はゼロから9人となった。

 日大では、脱税事件で有罪が確定した田中英寿元理事長に権力が集中していた。これまでの理事会は男性ばかりで身内意識が強かった。元理事長の意向に異議を唱えることはほとんどなく、チェック機能を果たせていなかった。

 林氏は、前体制下で起きた事件を改めて検証する調査委員会を設置する方針だ。しがらみのない初の女性理事長として、うみを出し切ることへの期待は大きい。

 芸術学部を卒業後、人気作家となった。就任にあたっては、小説の連載開始を先送りするなど、大学の立て直しに注力する考えも示した。

 ただ、課題は山積している。

 新理事長がいくら改革の旗を振っても、7万人の学生と4000人の教職員を抱える巨大組織を変えるのは容易ではないだろう。

 13年にわたって絶大な権力を握ってきた元理事長の影響を排除し切れるかが問われる。

 そのためには、志のある人材を結集して信頼回復への道筋を描き、具体的な取り組みにつなげることが欠かせない。

 大事にしてほしいのは学生たちの意見だ。イメージダウンによって最も被害を受けている。どのような大学のあり方を望んでいるのか、対話を重ね、改革に生かしてほしい。

 私立大には高等教育機関として社会的責任があり、国から税制優遇や助成も受けている。日大の事件などを踏まえ、文部科学省はガバナンス(経営統治)を強化するための私立学校法の改正作業に取り組んでいる。

 日大が生まれ変わることができるかどうかは、私学改革の行方にも影響を与えそうだ。

 林新体制は、社会から注目されていることを自覚し、果断に改革に取り組んでほしい。

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