責任はどこに… 継続する行政へ追及、見えぬ真実 熱海土石流1年
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

静岡県熱海市の土石流災害は3日で発生から1年を迎えた。盛り土の崩落による同様の事故はどうやって防げばよいのか。土石流が起こった責任の所在をどう考えるべきか。多数の犠牲者を出した土石流が投げ掛ける問いは重い。【深野麟之介、安藤いく子】
「失敗」とされた県と市の対応
「行政対応は失敗だった」「危険性の認識がなかった」。熱海市の土石流災害を巡り、静岡県の第三者委員会が今年5月に公表した最終報告書には、県と市の責任を厳しく問う文言が並んだ。今回の土石流は、起点の土地に造成された盛り土が被害を拡大させたとの見方が広がる。最終報告書は、県と市がそれぞれ、不適切な造成を止めて防災対策を施しうる立場にあったことを明確に打ち出した。
土石流の起点となった一帯の土地の前所有者にあたる不動産管理会社(清算)=神奈川県小田原市=は2007年3月、総量約3・6万立方メートルの盛り土を造成すると市に届け出た。だが、県の推計によると盛り土は土石流発生前には届け出の2倍近い約7万立方メートルに達し、うち約5・5万立方メートルが崩落。土地は土石流発生の10年前、11年2月に現所有者に売却された。
最終報告書は「市の(前所有者に対する)審査や指導が不十分だったことが行政対応の失敗の最大の要因」と指摘。「以降の是正措置や指導が取りにくくなった」とした。07年3月に前所有者が準備した、盛り土の造成を巡る書面は、防災対策などの重要事項が空欄だったにもかかわらず、市は受理していた。
批判の矛先は県にも向けられた。…
この記事は有料記事です。
残り2410文字(全文3055文字)
時系列で見る
-
これからも伊豆山で生きる 熱海土石流、古里に唯一の薬局開業
17日前 -
市長を追加の参考人質疑へ 百条委・8月下旬 /静岡
29日前 -
盛り土 「条例違反していない」 土地前所有者が弁明書 /静岡
30日前 -
「風化防ぐ」芽生えた決意 母亡くし被災地と向き合う3兄弟 /静岡
31日前 -
熱海土石流1年 責任押しつけ合う関係者=深野麟之介(静岡支局)
36日前注目の連載 -
川幅拡大、勾配緩和へ 県が逢初川整備計画原案 /静岡
42日前 -
伊東の18店舗が復興支援販売会 10日まで /静岡
43日前 -
熱海土石流1年 「もう一度会いたい」 27人を思い、祈る /静岡
46日前動画あり -
熱海土石流1年 「また会いに来るよ」献花台に手を合わせ
47日前 -
責任はどこに… 継続する行政へ追及、見えぬ真実 熱海土石流1年
47日前深掘り -
いつか父から受け継いだ畑のそばに 熱海土石流1年 自宅跡で祈り
47日前 -
熱海土石流、県と市を提訴へ 被害者の会「適切な対応で防げた」
47日前 -
「可能性ある限り諦めない」 200人体制で不明者捜索 熱海土石流
47日前 -
「まだ帰ってくるような気がするんです」 熱海土石流1年の追悼式
47日前動画あり -
大切な人しのぶ「また会いに来るよ」 熱海土石流1年、現場の献花台
47日前 -
熱海土石流1年 追悼式で涙の献花 27人死亡、1人行方不明
47日前 -
全国最高齢の市議・山田治雄さん死去 95歳 熱海土石流をただす
48日前 -
「励ましてくれるはず」亡き妻思い、静かに歩み 熱海土石流1年
48日前 -
熱海土石流1年 仮住まいなお194人 第三者委「行政対応は失敗」
48日前動画あり