「全部過疎」の町で使われない地方創生交付金「実態に合わない」批判も
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少子高齢化と都市への人口集中は「先進国共通の課題」と言われる。その通り、世界銀行がまとめている各国人口推計によると、日本の地方の人口は2021年まで35年間減少している。一方で、カナダは20年間増加が続く。積極的な移民の受け入れという日本とは異なる事情が大きいが、専門家は「参考にできることがある」と注目する。
百貨店は閉店、スーパーは1軒に
北海道・函館から車で1時間半の江差町。江戸時代にニシン漁で栄えた風情が海辺の「ニシン御殿」に残るが、丘の上の中心市街地には人通りがない。20年前に1万人あまりだった人口は、3分の2になった。国からは、町全域を過疎地域とみなす「全部過疎」の指定を受けている。
「小さいころは、中心部の百貨店に地域で唯一のエスカレーターがあって、近隣の町からも買い物や遊びに人が訪れていた」。5年前、結婚を機に大阪からUターンし、父が営む葬祭会社で働く高岡人夢(ひとむ)さん(32)は懐かしむ。その百貨店は閉店し、中心部に3軒あったスーパーも1軒に減った。中学の同級生約50人の大半は進学や就職で町外に出たという。
北海道教育大函館校4年の加川菜々美さん(21)も江差の出身だ。「民謡の江差追分(おいわけ)があって、人のつながりも濃くて、すごくいい町。だけど、働く場所がない」とさみしがる。高校生の頃からバラ科のベリー「アロニア」を特産品に育てようとする近所の取り組みに参加してきた。自身は卒業後、アロニア栽培から生まれたまちづくり会社で働く。「若い人や子供がふらっと寄れる場所を増やしたい」と感じている。
多様な当事者を巻き込む
加川さんが大学で入っているのが、町の活性化に協力する古地(こぢ)順一郎准教授のゼミだ。古地准教授はカナダで15年間暮らしながら移民政策を学び、14年に帰国後もカナダと日本の地方創生を比較研究してきた。「カナダは…
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