- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

冬の電力需給逼迫(ひっぱく)懸念を受け、岸田文雄首相が最大9基の原発稼働を進めると発言した。これまで岸田氏は原発について「安全性を大前提に最大限の活用を図る」などと繰り返していたが、今回は大きく踏み込んだのか。東日本大震災以降、停止したままの原発が新たに動き出すかのようにも聞こえるが、どう受け取ればいいのか探った。
「私から経済産業相に対し、できる限り多くの原発、この冬で言えば最大9基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保するように指示した」。岸田氏は14日の記者会見でこう述べた。
発言の背景には、今冬に懸念される深刻な電力不足がある。経産省の12月~2023年3月の電力需給見通しによると、10年に1度の厳しい寒さを想定した場合、北海道と沖縄を除く全国8エリアでは、電力供給の余力を示す「供給予備率」が1月に1%台に落ち込む見込み。東北と東京の2エリアは2月も1・6%にとどまる。電力の安定供給に最低限必要とされる3%を大きく下回る深刻な状況で、休止中の発電所を稼働させて供給力を上積みすることが求められている。
「最大9基」の対象となる原発は、関西電力の5基(大飯3・4号機、高浜3・4号機、美浜3号機)▽四国電力の1基(伊方3号機)▽九州電力の3基(川内1・2号機、玄海3号機)――が想定されている。これで明らかなのは、岸田氏はあくまで再稼働済みの原発を最大9基運転させようとしていることだ。国内の原発は新規制基準下で10基が既に再稼働しており、政府が想定するのはこのうちの9基だ。決して新たな原発を追加で再稼働させようとしているわけではない。
そもそも稼働の予定だ…
この記事は有料記事です。
残り944文字(全文1632文字)