屋根は芝生、そばには田んぼ 異色の菓子店を老舗がつくった理由

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たねやグループの旗艦店「ラ コリーナ近江八幡」。周囲の自然と一体化した造りとしている=滋賀県近江八幡市で2022年6月8日午後0時9分、井口彩撮影
たねやグループの旗艦店「ラ コリーナ近江八幡」。周囲の自然と一体化した造りとしている=滋賀県近江八幡市で2022年6月8日午後0時9分、井口彩撮影

 琵琶湖の南東に広がる田園風景に、近県ナンバーの乗用車や観光バスが続々と集まる一角がある。その中央で存在感を示すのは、屋根が雑草に覆われた横幅55メートルの建物。滋賀県1位の観光客数を誇るここは、1872(明治5)年創業の菓子店だ。こんな不思議な建物を造った理由を取材すると、老舗が生き残るために培った経営哲学がちりばめられていた。

 近江商人発祥の地にあり、古い街並みが歴史を感じさせる滋賀県近江八幡市。その郊外で小高い山を背に広がる約12万平方メートルの敷地に草屋根の建物はある。

 そこでは、ドングリがなるブナ科の樹木約4万5000本が育ち、約4000平方メートルの水田は秋に稲穂が実る。前庭には低木のオカメザサが広がり、訪れた人はその間を縫う遊歩道をたどって草屋根の建物に向かう。他に小ぶりな建物も点在しており、スマートフォンを構えて写真を撮る姿があちこちに見える。

 2階建ての草屋根の建物に入ると、白を基調とした和菓子や洋菓子の売り場やバウムクーヘンを味わえるカフェがある。他の建物ではライスコロッケなどの軽食を提供したり、土産物を販売したりしている。

 この施設は、イタリア語で「丘」を意味する「ラ コリーナ」と名付けられている。運営しているのは、近江八幡市で150年続く老舗の菓子店「たねや」グループ。もなかや栗まんじゅうなどの和菓子を扱う「たねや」と、バウムクーヘンなど洋菓子の「クラブハリエ」の両ブランドを持ち、関東や関西の百貨店にも出店している。

 草屋根の建物はグループの旗艦店と位置付けている。プールやホテルなどを備えていた厚生年金福祉施設を買い取って造成し、2015年に開業した。…

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