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憂楽帳

50年以上続く毎日新聞夕刊社会面掲載のコラム。編集局の副部長クラスが交代で執筆。記者個人の身近なテーマを取り上げます。

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命をいただく

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 青々とした稲の隙間(すきま)から、クワックワッという鳴き声とともにアイガモが次々と姿を現した。堺市の住宅街にある大阪府立農芸高校の水田ではアイガモ農法が取り入れられている。喜多村晴幸教諭(55)が「可愛いでしょ。ふ化した時に『刷り込み』をして顔と声を覚えさせるので、生徒たちを親だと思っているんですよ」と教えてくれた。

 喜多村さんが農業教育を通して生徒たちに伝えたいのは、「命」の重みだ。農業とは、生き物や作物を「育てる」だけでなく、命を「絶ち」、「いただく」営みまでを含む。自分になついたアイガモたちを食肉に加工する行為は過酷だ。生徒たちは気付き、悩み、そして何度も考える。「最初は『可哀そう』だったのが、どこかで『ありがとう』に変わる」。喜多村さんが生徒の成長を実感する瞬間だ。

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