「だいじょうぶ」キャンペーン 夏休み、親子で防犯 風景に潜む「危険」読み解いて

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=川上克己撮影 拡大
=川上克己撮影

 もうすぐ夏休み。家族で出かける機会も増え、出先ではつい大人も子どもも気持ちがゆるみがちになるが、犯罪に巻き込まれる可能性も高まり注意が必要だ。子どもを守るために、親は日ごろからどのような点に気をつけ、子どもに伝えるべきか。子ども向けの防犯対策「地域安全マップ」を考案し、地域の安全や犯罪予防を研究する立正大学の小宮信夫教授(犯罪学)に聞いた。【聞き手・賀川智子】

 ――親が日ごろから注意すべき点は。

 ◆防犯のために注目すべきは「人」ではなく「景色」です。小学生以下の子の8割ほどは犯罪者にだまされてついて行ってしまうというデータもあり、「危ない人に気をつけて」と言っても効果はありません。安全と危険を識別する能力のことを「景色解読力」と言い、この力を子どもに身につけさせることが大事です。

京都市立藤城小学校で作製された地域安全マップ (C)Google 拡大
京都市立藤城小学校で作製された地域安全マップ (C)Google

 ――具体的にはどんな場所が危ないか。

 ◆「入りやすく、見えにくい」場所です。専門的には「領域性が低いところ」と「監視性が低いところ」を言います。例えば、ガードレールの有無。過去の誘拐事件はほぼガードレールのない場所で起きています。また、周囲にたくさん家があって、家の窓がよく見える道路では犯罪は起きにくいです。普段から子どもと歩きながら「ここは危ない? 安全?」と確認するのをおすすめします。

 ――夏休みは子どもだけで行動する機会もあります。

 ◆旅先で子どもだけで遊ばせる場合は、必ず親の視界から消えない範囲内で。子どもだけで留守番の場合は、電話・宅配に応対しない、人を家の中に入れないのが基本です。子どもだけで出かける場合も、複数行動を徹底すること。基本的に犯罪者は単独行動の子を狙います。トイレやコンビニなども一人ではなく必ず複数で行動するよう声かけしましょう。

 ――「地域安全マップ」とは。

 ◆子どもの「景色解読力」を高めるために、子どもが実際に地域を歩いて危ないか安全かを撮影し、写真を説明文と一緒に模造紙に貼った手作り地図のことです。今年からオンライン版も始まり、全国の小学校で防犯知識を高めるツールとして広がっています。


オンラインで「地域安全MAP教室」に参加した児童たち=北海道苫小牧市立拓進小で6月22日、原岡和歌子撮影 拡大
オンラインで「地域安全MAP教室」に参加した児童たち=北海道苫小牧市立拓進小で6月22日、原岡和歌子撮影

「入りやすく、見えにくい」に注意 地域安全MAP教室

 身近にひそむ危険な場所を学ぶ「東京海上日動プレゼンツ 地域安全MAP教室」(主催・「だいじょうぶ」キャンペーン実行委員会、協賛・東京海上日動火災保険)が6月、北海道苫小牧市立拓進小と京都市立藤城小でオンラインで開かれた。総合学習の授業を使い、立正大の小宮信夫教授が講師を務めた。小宮教授が考案した地域安全マップは「犯罪者が入りやすく、周囲から見えにくい場所」を自分たちで探すことで危険察知能力の向上を図る。

 授業の前半では主に2枚のイラストや写真を比較し、どちらが危険な場所かを当てるクイズを実施した。児童たちは理由を考えながら「犯罪者が入りやすく、周囲から見えにくい場所」について理解を深めた。例えば、ガードレールが設置されている道路は車で誘拐されにくいなど、児童たちは具体的な景色の事例をいくつか確認しながら、安全な場所と危険な場所の違いを学んだ。

 後半ではインターネットを活用して、実際の学校周辺の写真を見て5カ所ほど調べた。「入りやすく」「見えにくい」をキーワードに、児童たちも一緒に考え、ときには周囲に相談しながら、自分の意見を発表した。インターネットの効用で空から見た景色も確認でき、公園などの遊び場所や学校の周囲を広範囲に調べることができた。

 授業と同時進行で、拓進小では地域安全マップ協会副理事長の中尾清香さんと理事の張間美樹さん、藤城小ではNPO法人エクスプローラー北海道代表理事の佐藤一美(ひとみ)さんが児童たちの発言や小宮教授のコメントを反映した学校周辺の地域安全マップを作製した。授業の最後に児童たちへ披露すると、教室内が歓声に沸いた。

 小宮教授は、危険な場所がわかったら、「行かない・近づかない」「一人では行かない、一人にならない」「さそわれても、たのまれてもことわる」の三つの大事なことを語り、授業を締めくくった。【原岡和歌子、吉川浩史】


幼児2人を乗せられる電動アシスト付き自転車 拡大
幼児2人を乗せられる電動アシスト付き自転車

「知識と体感」備えを 電動アシスト機能付き、幼児2人同乗用自転車

 子どもの送迎などで人気の電動アシスト機能付き幼児2人同乗用自転車だが、近年は転倒などによる事故も相次いでいる。どんな点に注意すべきか、一般社団法人「自転車協会」に聞いた。

 同協会によると、自転車は道路交通法上は軽車両と位置づけられており、車道通行が原則だが、自転車通行可の標識がある場合などは歩道の走行も可能だ。警察庁ホームページ(HP)には車道の左側通行や子どものヘルメット着用義務など、特に守るべき重要な規則「自転車安全利用五則」を公開しており、確認してほしいという。更に、使用する自転車は、安全・安心に走行できるよう厳しい検査をクリアした「BAA」マーク付きを推奨する。

 子どもを乗せる際には、「知識と体感」両方の準備が必須だ。説明書をよく読み、乗せる場所と体重を確認し、安全な場所で練習するよう呼びかけている。電源を入れる際には足を地面につけ、段差がある場所は一度降りる。ブレーキなど乗車前の点検も欠かせない。担当者は「大切な命を預けるものなので、安全に快適に使っていただきたい」と話す。【賀川智子】

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声かけ合える社会目指し

 犯罪や災害、事故などから子どもたちやお年寄りらを守り「だいじょうぶ?」と声をかけ合える社会を目指す運動で、2007年に始まった。ロゴマークは「行政」「企業・団体」「市民」の三つのリングをかたどり「安心・安全の輪を大きくしていきたい」との願いをこめている。各地で「地域安全MAP教室」を開くなど、防犯、防災、交通安全の三つを柱に、事業、イベントを展開している。

「だいじょうぶ」キャンペーンホームページ(http://daijyoubu-campaign.com/)または「だいじょうぶ」キャンペーンで検索


主催

「だいじょうぶ」キャンペーン実行委員会

(野田健会長=元警視総監、元内閣危機管理監、

全日本交通安全協会理事長/事務局 毎日新聞社)

共催

全国防犯協会連合会、全日本交通安全協会、

日本消防協会、全国防災協会、日本河川協会、

日本道路協会、都市計画協会、全国警備業協会、

日本防犯設備協会、ラジオ福島、毎日新聞社

後援

内閣府、警察庁、文部科学省、国土交通省、総務省消防庁、東京都、NHK

協力

地域安全マップ協会

プラス・アーツ

協賛

セコム

東京海上日動火災保険

トヨタ自動車

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