誰がパレスチナ人記者を射殺したのか 国連や米国巻き込む国際問題に

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射殺現場にはシリーン・アブアクレ記者の写真が掲げられている。同僚のアリ・サムディさんは、毎日ここで追悼しているという=ヨルダン川西岸ジェニンで2022年6月21日午後2時35分、三木幸治撮影
射殺現場にはシリーン・アブアクレ記者の写真が掲げられている。同僚のアリ・サムディさんは、毎日ここで追悼しているという=ヨルダン川西岸ジェニンで2022年6月21日午後2時35分、三木幸治撮影

 誰がパレスチナ人記者を射殺したのか――。5月、ヨルダン川西岸で起きた事件が、国際社会を巻き込んだ対立に発展している。この記者はイスラエル軍によるパレスチナ武装組織の掃討作戦を取材中、頭部に銃弾を受けて死亡した。パレスチナ自治政府や国連は「イスラエルによる銃撃」と主張。イスラエルや米国は「容疑者は特定できない」と反論する。真相解明を願う遺族は、やりきれない思いを取材に語った。

 亡くなったのは中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」の女性記者、シリーン・アブアクレさん(51)。1990年代から第一線で活躍し、パレスチナでは最も著名な記者の一人だった。

 事件が起きたのは5月11日朝。イスラエル軍は、ヨルダン川西岸ジェニンの難民キャンプで武装組織を摘発していた。アブアクレさんと行動をともにしていたシャーサ・ハナイシャ記者(29)によると、同日午前6時過ぎ、アブアクレさんと同僚のアリ・サムディさん、ハナイシャさんら7人は、難民キャンプ付近にある交差点に集まった。約200メートル離れた場所にはイスラエル軍の車両があった。交差点は、通勤の車が行き交うなど平常通りで、銃撃の音は聞こえなかったという。7人はヘルメットと「PRESS」と書かれた防弾ベストを着用。ハナイシャさんは「記者であることを軍に示すため、交差点で5分ほど待機した」と話す。安全確保のため、軍関連の取材では常に同様の行動を取るという。

 だが、記者たちが取材のため、軍に向かって歩き始めると、突然銃撃が始まった。…

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