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同性婚の法制化 多様性ある社会のために

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 どうすれば多様性のある社会を実現できるか。同性カップルの権利を守ることは、そのための大切な取り組みだ。

 民法や戸籍法の規定が男女の結婚を前提としているため、婚姻届を出しても受理されない。家族として法的に保護されず、差別的な扱いを受けている。

 先の参院選では、立憲民主党や日本維新の会などが同性婚の法制化を掲げた。与党の公明党も「国民的議論を深め、必要な法整備に取り組む」との立場を示した。

 対照的に、自民党は公約で言及しなかった。

 先月、多くの自民議員が所属する神道政治連盟国会議員懇談会の会合で、「同性愛は後天的な精神の障害、または依存症」と記載された冊子が配られた。だが、科学的な根拠はない。

 同性婚について政府は「家族のあり方の根幹に関わる問題で、極めて慎重な検討を要する」との姿勢だ。岸田文雄首相は参院選後、ラジオ番組で「さまざまな意見があり、議論を深めなければならない課題だ」と述べるにとどめた。

 家族の形が多様化するにつれ、同性婚に関する人々の意識も変わってきている。

 毎日新聞などの世論調査では、46%が「認めるべきだ」と答え、「認める必要はない」の16%を大きく上回った。若い世代ほど賛成派が多い。

 同性カップルの関係を自治体が証明する「パートナーシップ制度」は各地に広がり、200以上の自治体が導入した。パートナーの入院手続きや生命保険の契約などの際に活用されている。

 しかし、これだけでは根本的な解決にならない。パートナーの法定相続人にはなれず、共同で親権を持つこともできない。税制や社会保障でも不利益を被っている。

 「婚姻は両性の合意のみで成立する」と定めた憲法24条は、同性婚を否定していないとの司法判断が相次ぐ。認めないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとの判決も出された。

 海外では、欧米などの31カ国・地域が同性婚を認めている。

 さまざまな人たちの人権が尊重される社会を築くのは、政治の責任である。早急に同性婚の法制化を実現すべきだ。

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