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いきものと生きる

侵略的外来種などの研究で知られる五箇公一さんが生き物に関するあれこれをつづります。

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夏のビーチで遭遇した危険生物

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リュウキュウダツの群れ=沖縄県恩納村で、亀田早苗撮影
リュウキュウダツの群れ=沖縄県恩納村で、亀田早苗撮影

 自然界には、人間の命を簡単に奪う生き物がいます。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんも、南西諸島・宮古島のビーチで野生生物の怖さを知ったといいます。何があったのでしょうか。

日本の近海でも「ジョーズ」の恐怖

 エジプトの観光ビーチで白昼、多くの行楽客が目撃する中で女性がサメに襲われて死亡するという痛ましいニュースが流れて話題となった。思わず映画「ジョーズ」を思い起こすような事件だが、日本の近海でも近年、イタチザメやホホジロザメなど大型で攻撃性が強いとされるサメが、目撃されたり捕獲されたりする事例が相次いでいる。地球温暖化によって海流が変化し、近海の海水温が上昇したことで、サメが増えているのではないかとの意見もある。

 どう猛とされるホホジロザメでも好んで人を襲撃することはないとされる。だが、陸上のクマ同様、自然界で出くわせば非力な人間は簡単に命を奪われる恐れがある。確率的にめったに起こることではないとはいえ、自然を楽しむ行為の裏には、人間が太刀打ちできない生物学的リスクが潜んでいることは忘れてはならない。

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