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岩間陽子・評 『帝国のフロンティアをもとめて』=東栄一郎・著、飯島真里子、今野裕子、佐原彩子、佃陽子・訳

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『帝国のフロンティアをもとめて』
『帝国のフロンティアをもとめて』

 (名古屋大学出版会・5940円)

日本の海外発展を考察する出発点の書

 日本人にとっての海外とは何だろうと常に考えている。鎖国に象徴されるような、内向きの「島国メンタリティー」がある一方で、長い日本人の歴史を振り返れば、かなり自由に地球上を動き回る人々が出現する時期もある。19世紀末から20世紀前半は、日本人が激しく地球上を移動した時期である。その動きの意味について本書は、かなり刺激的で挑戦的な答えを投げかけてくる。

 著者の東(あずま)氏は、現在アメリカで活躍する歴史学者で、本書は英語の原著からの翻訳である。従来の歴史学の枠組みから自由な捉え方は、日本の大学にいては難しかったかもしれない。日本人の過去について、一方で「侵略」や「帝国主義」という加害者視点があり、他方で「排日移民法」や「日系人収容所」に象徴されるような、被害者視点もある。本書はこの両者を包含する視点を提示してみせる。アメリカ日系移民社会とアジア…

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