「中露、日米欧とも距離」侵攻後の経済握る第三勢力との向き合い方

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途上国も招いたBRICS拡大会議で基調演説をする中国の習近平国家主席=2022年6月22日、新華社・AP
途上国も招いたBRICS拡大会議で基調演説をする中国の習近平国家主席=2022年6月22日、新華社・AP

 先進国中心の国際金融体制に対し、団結して改革を求めてきたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国で構成する「BRICS」が6月、途上国を加えた拡大会議を開いた。勢いづくBRICSと日本はどう向き合うべきか。国際政治が専門の添谷芳秀・慶応大名誉教授に聞いた。【聞き手・堀和彦】

BRICS拡大会議に13カ国参加

――BRICS拡大の意義をどのように捉えていますか。

 ◆世界をマクロな対立構造で見ると、これまで「自由で開かれたルールに基づく国際秩序」を主導してきた米国、欧州諸国、そして日本などを含む先進民主主義諸国に対して、帝国主義的な共通項を持つロシアと中国が挑戦しているという姿が浮き彫りになってきた。そこでのBRICSの位置づけを考えると、5カ国と今後加盟が予想される国々は、先進国が主導する国際秩序と同じ土俵にはいないグループであることが指摘できる。同時に、自らもメンバーであるロシアや中国がBRICSを巧みに利用しようとしているが、他の加盟国は必ずしも中露の思惑に組み込まれているわけではない。

 もっとも、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、中国が議長国となった6月の首脳会合ではBRICS拡大の機運が生まれ、その行方は慎重に見極めたい。首脳会合の翌日に開催された「グローバル開発に関するハイレベル対話」には、BRICSの5カ国に加えイラン、アルゼンチン、インドネシアなど13カ国が参加した。逼迫(ひっぱく)する世界のエネルギー事情の中で、BRICSを軸に資源国が結束を固めると、他国はそれを無視できなくなる可能性がある。ウクライナ侵攻後の世界経済を考える際に、拡大BRICSの動向からは目が離せないだろう。

 安全保障に関しては、複雑化する国際政治の文脈で捉える視点が重要だ。世界の中で、ウクライナ侵攻を国際秩序への挑戦だと捉えて対応している国は、むしろ少数派だ。中露以外のBRICS諸国やこれから加盟するだろうと思われている国は、「中露VS先進民主主義国」という対立構図の中で自らの立ち位置を考えているわけではないということを踏まえる必要がある。

――では、ロシアによるウクライナ侵攻をBRICSはどのように見ているでしょうか。

 ◆彼らは、…

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