遺骨のゲノム研究、政治利用 「先住」主張し、占領の歴史正当化

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
遺骨のゲノム研究成果を伝える論文や報道、世界の研究者による倫理ガイドライン=京都市上京区で2022年7月15日午後1時42分、千葉紀和撮影
遺骨のゲノム研究成果を伝える論文や報道、世界の研究者による倫理ガイドライン=京都市上京区で2022年7月15日午後1時42分、千葉紀和撮影

 過去を生きた人々の遺骨に、技術革新が新たな価値をもたらしている。骨のゲノムを調べる最先端の人類学研究は、従来の考古学や歴史学に基づく定説を続々と書き換える一方、国内外で民族や先住性を巡る新たな争いも引き起こし、研究倫理や成果の悪用が問題化している。遺骨を巡る「ゲノム革命」の光と影を追う。

イスラエル首相の投稿波紋

 「イスラエルの地とパレスチナ人とのつながりは、ユダヤ人との4000年にわたるつながりに比べれば何でもない」

 混迷するパレスチナ問題を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相(当時)が2019年7月、ツイッターに発信した内容が、世界に波紋を広げた。遺骨を用いた最新のゲノム研究がこう証明したとして、占領を正当化したのだ。

この記事は有料記事です。

残り1709文字(全文2022文字)

あわせて読みたい

ニュース特集