「居場所がなかった」 俳優・伊礼彼方が「悪ガキ」時代に感じた孤独

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ミュージカル「ミス・サイゴン」でエンジニア役を演じる俳優の伊礼彼方=大阪市北区で2022年4月25日、川平愛撮影
ミュージカル「ミス・サイゴン」でエンジニア役を演じる俳優の伊礼彼方=大阪市北区で2022年4月25日、川平愛撮影

 「なんでこんな顔で生まれたんだろう」。俳優の伊礼彼方は、生まれた国から日本に来た子どものころ、やり場のない感情に苦しみ、街をさまよった。次に演じる役も「孤独で、居場所を探していた」男。「悪ガキ」だった自分と共鳴する思いを手がかりに、大役に挑む。

「ミス・サイゴン」でエンジニア役

 オーディションで勝ち取ったのは、日本で通算上演回数1400回以上を誇る人気ミュージカル「ミス・サイゴン」のエンジニア役。「日本の演劇界は実力だけで勝ち取れる役が少ない。築いた経験が生きたのかなと思うと、喜びの度合いが違います」と笑顔を見せる。

 物語の舞台は1970年代のベトナム戦争末期、陥落直前のサイゴン(現ホーチミン)。両親を失った少女キムと米兵クリスが恋に落ちる。永遠の愛を誓う2人だったが、陥落の混乱でクリスは米国、キムはタイへと脱出。キムはクリスとの間に生まれた息子を育てながら、再会を信じる。

 エンジニアはフランス系ベトナム人で、2人が出会うキャバレーの経営者だ。アメリカへ渡って一旗揚げるため、キムを利用しようとするしたたかな男だが、伊礼は「同じ部分を感じる」という。

「世界から取り残された」

 沖縄出身の父とチリ出身の母の間に生まれ、幼少期をアルゼンチンで過ごした。…

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