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猛暑と節電

記録的な高温が続く2022年の夏。電力の供給余力が乏しく、政府による7年ぶりの節電要請が出ています。

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ゼロからわかる!計画停電はある?ない?不足時の緊急対策を解説

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電力不足が想定される場合の主な対応
電力不足が想定される場合の主な対応

 節電要請、電力需給逼迫(ひっぱく)注意報と警報――。2022年は電力需給が厳しくなり、さまざまな対策が講じられている。今後、電力供給を一時停止する「計画停電」が実施されることはあるのか。電力不足時の緊急対策を解説する。

全国規模で節電を求める「節電要請」

 政府は7~9月、全国の企業や家庭に節電を呼びかけている。具体的には、不要な照明を消すことや、室温28度を目安にエアコンを動かすことなど「無理のない範囲でできる限りの節電」を促している。

 政府の節電要請は7年ぶり。要請の目安は、電力需要の多い夏・冬シーズンに、電力需要に対する供給余力が安定供給に最低限必要とされる「3%」を下回る可能性があるかどうかをベースに、総合的に判断して決める。

 経済産業省が6月にまとめた今夏の電力需給見通しでは、7月の供給余力は北海道と沖縄を除く全国で3・7%まで低下すると予測。その後は原発の再稼働や点検中の火力発電所の運転再開などで発電能力が増加するため、8月は5・7%、9月は6%台に改善する見通しだ。

 岸田文雄首相は7月14日の記者会見で「この夏については、電力の安定供給を確保する見通しが立ちました。熱中症も懸念されるこの夏は、無理な節電をせず、クーラーを上手に使いながら、乗り越えていただきたい」と呼びかけた。

◇「原発9基稼働」でも今冬の需給厳しく

 ただし、油断は禁物だ。今冬は夏に比べて電力需給がさらに厳しくなることが予想されている。経産省の見通しでは、23年1月の供給余力は中部から九州までの西日本で1・9%、東北・東京エリアは1・5%に低下する。

 岸田首相は今冬の電力安定供給に向け、「原発9基稼働」を指示した。ただ、9基稼働はすでに需給見通しに織り込まれており、首相の指示は「念押し」の意味合いしかない。災害や故障などで発電所の停止が相次いだ場合、想定以上に電力が不足するリスクもあり、「節電要請」を超える対策が必要になる公算が大きい。

今冬は「数値目標付き節電要請」か

 では今後、どのような対策が取られる可能性があるのだろうか。

 電力需給見通しがより厳しくなり、安定供給のために5~10%程度の節電が必要になると見込まれる場合、政府は「数値目標付き」の節電要請を検討する。

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