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SEALDsの敗北とは何だったのか 15年安保に感じた「甘さ」

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2015年安保を闘った学生団体「SEALDs」について語る小峰ひずみさん=大阪市北区で2022年7月11日、北村隆夫撮影
2015年安保を闘った学生団体「SEALDs」について語る小峰ひずみさん=大阪市北区で2022年7月11日、北村隆夫撮影

 2015年夏、安全保障関連法案をめぐる反対運動のただ中に若者たちがいた。学生団体「SEALDs(シールズ)」だ。国会前のデモなど熱を帯びた抗議のうねりはしかし、法案可決を阻むには至らず、翌16年に解散。同世代の批評家、小峰ひずみさん(29)は当時、その運動に共感しながらも、ある「甘さ」を感じていたという。政治を語る「私たちの言葉」を鍛え直すため、小峰さんは今あえて論じる。平成の終わりに光を放ったシールズの闘いとは、敗北とは何だったのか。

 <ひとりの人間が死ねば、弔辞が読まれる。ひとつの闘いが終われば、総括が書かれて然(しか)るべきだ>。小峰さんの新著『平成転向論』(講談社)にはこう記される。21年の群像新人評論賞優秀作に選ばれた論文に大幅加筆した本書は、思想や態度の変更を示す「転向」をキーワードに、<15年安保で最もよく闘いえた運動体>を総括する。「シールズのどこがだめでどこが良かったのか、その失敗を次の運動にどう生かすのかを考える文体や語彙(ごい)、態度が今はほぼ失われている。そのことが問題だと思いました」。ページの上に「階級闘争」「旗」「党」などの言葉が躍り、一貫して挑発的な文体には「この国の社会運動の歴史を背負う」という著者の強い意志がにじむ。

政治をどのように語るか

 シールズは「自由と民主主義のための学生緊急行動」の英語の頭文字から…

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