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バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が電話協議した。3月にオンライン形式で会談して以来の対話である。
米中が台湾周辺での軍事活動を繰り返し緊張状態が続く中、要職である米下院議長、ペロシ氏の台湾訪問計画が伝えられている。2時間あまりの協議では、台湾情勢に多くの時間が割かれた。
習氏は米国の介入をけん制し「火遊びをすれば身を滅ぼすことになる」と警告した。バイデン氏は従来の台湾政策に変わりはないと述べたうえで、「中台いずれの側であっても一方的に現状変更することに反対する」と強調した。
「台湾海峡の平和と安定」は国際社会の切実な願いだ。不測の事態を招かないよう、意思疎通を欠かしてはならない。
今回、トップ対話が実現したのは、米中関係の不安定化を避けたい思惑が双方にあったからだろう。米国は中間選挙、中国は共産党大会という重要な政治日程を控えている。
協議では、気候変動や感染症対策での協力も話し合われ、対話を維持することで一致した。両首脳が対面会談に向け調整を進めることでも合意した。いずれも緊張緩和に資する成果と言える。
出口の見えないコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻で国際社会は動揺している。ロシアと米欧日の対立が深まり、多国間の枠組みは機能不全に陥っている。世界1位、2位の経済大国である米中の役割は重みを増している。
ウクライナ侵攻への対応、世界経済の立て直しや途上国の食料危機など、米中が共に取り組むべき問題は山積している。両国が反目を続け、こうした問題が脇に追いやられるようなことがあってはならない。
米中関係の重要性は、両首脳とも認識している。習氏は「両国がけん引役となり、世界の平和や発展を支えることを、国際社会は期待している」と呼びかけ、バイデン氏は「相違があっても協力を模索することが重要だ」と応じた。
「大国の責任」を語るのなら、国際協調を尊重しなければならない。米中が内向きの論理を押し通せば、影響は世界に及ぶ。緊張を高めないための外交努力を続けることが求められる。