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日野自動車が2日公表したエンジン不正を巡る特別調査委員会の調査報告書は、法令順守の姿勢を後回しにして規模の拡大を目指してきたことなど、同社の問題点を厳しく指摘した。小木曽聡社長は記者会見で「事実をしっかり受け止め、向き合う」と述べ、再生に全力を尽くす覚悟を口にしたが、課題は多岐に及んでおり、実行は容易ではない。
「企業体質の改善には経営陣の覚悟と本気度が必要だ」。調査報告書はこう指摘した上で、同社が取り組むべき課題や問題点を羅列した。
不正の背景としては、縦割りで風通しが悪い組織や、上意下達の気風が強いパワハラ体質という問題点を指摘した。役員や経営陣らが不正に直接関係した証拠は認められなかったとしつつ、「逼迫(ひっぱく)する開発スケジュールに対して、配慮できなかった役員にも問題があった」とした。またエンジンの開発と認証に必要なデータ測定を行う部署が同じ部門に属しており、監視体制が機能していなかったことも挙げた。特別調査委の榊原一夫委員長は「チェック機能が弱かった」と述べた。
エンジンの燃費に関する不正は、2005年に元副社長からの指示を受け、税制優遇が受けられる燃費目標の達成に向けて開発部門が検討を開始した後に起きた。目標達成が難しい状況だったにもかかわらず、役員クラスは開発続行を決定。現場の担当者が燃費に有利になるように数値を不正に操作するに至ったという。元副社長がエンジンのベテラン技術者だったため、現場からも指示に対する異論が出せず、結果的に不正に手を染めたとみられる。
社員らに実施した聞き取り調査では「お立ち台」という社内用語が何度も登場した。…
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