新型コロナ対策で混乱の中国 それでも続く習近平氏への忠誠競争
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新型コロナウイルスの問題は、新築マンションの建設を巡る混乱も引き起こしている。
北京市朝陽区の大型マンションの建設現場を7月下旬に訪れると、開発会社のスタッフが来客に「マンション購入者のみなさんには、特別に見学できるよう準備しています」と声をかけていた。
このマンションはコロナ禍での建設資材価格や労務費の高騰などが原因で工事に遅れが出ている。中国では一般的に新築物件の引き渡し前に住宅ローンの支払いが始まる。マンション購入者たちは「これ以上遅れるならローンの支払いを止める」と開発会社や区政府に通告している。
中国国内の有志が情報を集約するサイトによると、コロナ禍での経済停滞などが原因で工事が停止したり遅れたりしている大型マンションは7月下旬の時点で110都市の約320件にのぼり、各地で購入者による「ローン支払い停止通告」などの異議申し立てが相次いでいる。マンション完成の見通しがないままローン支払いを強いられる購入者たちの状況は深刻だ。
経済の停滞や過剰な新型コロナ対策の影響を受けた被害者たちが、生活防衛のために集団で声を上げる動きは今年に入り各地に広がっている。7月10日には中国内陸部・河南省鄭州市で地方金融機関の預金引き出しが凍結されたのをきっかけに、地方政府やこの金融機関への大規模な抗議デモが発生。約1000人の預金者が政府や金融機関に集結し、抑え込もうとした治安当局と衝突した。
燕郊でのデモを含め、中国で公然と異議申し立てをする動きが広がった時期は、上海で新型コロナ対策のため3月末から5月に厳格なロックダウン(都市封鎖)をしたことが経済に大きな打撃を与えたタイミングとも重なる。社会政策に関わる中国共産党関係者は「上海の都市封鎖が経済に打撃を与えたことの最大の問題は、市民の政府に対する信頼が大きく低下したことだ」と指摘する。信頼を取り戻すには、傷んだ経済を早期回復の軌道に乗せることが不可欠だが、その見通しは明るくない。
中国政府は今年3月、2022年の成長率目標を「5・5%前後」と掲げた。だが、約…
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