教育に広がるメタバース 仮想教室に学びの仕掛け 不登校向け活用も

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ゴーグルを着けて参加するVR授業。前方の教員や黒板は特殊なカメラで録画された映像。同級生のアバターが映るため、一緒に授業を受けているように感じる=角川ドワンゴ学園提供
ゴーグルを着けて参加するVR授業。前方の教員や黒板は特殊なカメラで録画された映像。同級生のアバターが映るため、一緒に授業を受けているように感じる=角川ドワンゴ学園提供

 最近耳にすることが多くなったインターネット上の三次元(3D)仮想空間「メタバース」について、教育界でも活用を模索する動きが始まっている。メタバースの授業では、パソコンなどを介して生徒たちは仮想空間上で自らの分身となるキャラクター「アバター」を操作して参加する。新型コロナウイルス禍で普及したウェブ会議システムを使うオンライン授業とは何が違うのか。「メタバース授業」の世界をのぞいた。

目の前にアンモナイト!

 メタバース授業の中でも「バーチャルリアリティー(VR)」も組み合わせた先進的な取り組みを行っているのが、学校法人「角川ドワンゴ学園」が運営する通信制高校の「N高」(沖縄県)と「S高」(茨城県)だ。

 生徒たちは自宅などから3D映像を見るための専用のゴーグルを装着し、授業を受ける。仮想空間の教室も前方には現実と同じような黒板があり、その前で教員が授業を行う。これは特殊なカメラで撮影された3D映像だ。真っすぐそれだけ見ていると、通常の授業を3Dで見ているのと変わらないが、視野を広げると趣が変わる。

 頭を上下左右に動かすと、ゴーグルの中で360度の風景が見える。周囲にはコンピューターグラフィックス(CG)で描かれたアバターの同級生たちが机を並べており、一緒に勉強している雰囲気になる。パソコンなどの画面に固定カメラの授業映像が流れたり、教員や学生の顔がずらりと並んだりするオンライン授業とは全く違う世界だ。

 さらに特徴的なのは、この教室には不思議な仕掛けがたくさんあることだ。例えば地学の授業。先生が中生代の地層から見つかるアンモナイトの話をしているとき、生徒が両手のコントローラーでアバターを操作し、宙に浮いたように並んでいるパネルの一つを押すと、目の前にCGで作られたアンモナイトの立体模型が飛び出してきた。アバターの手でつかんで裏返したり回したりしてアンモナイトを隅々まで観察できるのだ。ほかのパネルは古生代の「三葉虫」、新生代の「ナウマン象」といった具合で好奇心を引き出す。

 授業によってさまざまな種類の仕掛けがある。数学では立体幾何学模型を手に取ってパズルを解くように考えたり、英会話ではリアルに反応するバーチャル外国人と対面し、「吹き出し」型の選択肢をゲームのように選んで会話を体得したりと幅広い。

 多くの授業をオンラインで行ってきた両校は2021年度にVRのメタバース授業を本格導入した。新入生には1人1台、ゴーグルを無償貸与。現在は12教科約7100本の授業動画のうち、7教科の3000本以上がVR学習に対応しているという。22年度は初めて生徒の一部がアバターで参加する「メタバース入学式」を開催したという。

低コストの簡易版利用も

 S高の吉村総一郎校長(39)は「360度の(視界が開けた)世界に没入することで、より勉強に集中でき、現実の体験に近いので記憶も定着しやすい」と意義を語る。

 とはいえVR用…

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