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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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処理水保管「問題の先送り」 工事了解、立地自治体が刺したくぎ

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東京電力福島第1原発の構内で、処理水がためられているタンク=福島県大熊町で2022年2月26日、西夏生撮影
東京電力福島第1原発の構内で、処理水がためられているタンク=福島県大熊町で2022年2月26日、西夏生撮影

 東京電力福島第1原発でたまり続ける処理水を巡り、福島県と大熊町、双葉町は、海洋放出の前提となる海底トンネルなどの設備工事に了解する意向を表明した。内堀雅雄知事らが2日、放出に必要な工事の開始について了解し、東電側に伝えた。地元自治体はなぜ了解に踏み切ったのか。

漁業者との約束 続く議論

 「重く受け止めます」。この日午後5時に福島県庁を訪れた小早川智明・東京電力ホールディングス社長は、処理水の海洋放出に向けた事前了解を県と双葉町、大熊町のトップから取り付けたことを受け、神妙な面持ちで頭を下げた。

 県幹部によると、県と双葉町、大熊町の意見表明は、間を置かずに早いうちに実施すべきだとの認識で、3者間で一致していた。県側は、この日午後にあった幹部会議の終了後に東電に連絡。その後で伊沢史朗・双葉町長と吉田淳・大熊町長が合流したという。

 事前了解の判断基準となった東電の実施計画については、県などでつくる原発安全確保技術検討会が7月、「技術的な安全性を確認した」との報告書をまとめている。内堀雅雄知事は、この報告書を踏まえたうえで、放射性物質の確認など8項目の要求事項を確実に実施し、取り組み状況を報告することなどを条件として挙げた。同時に、東電に対して「万全な風評対策を講じてほしい」とくぎを刺すことも忘れなかった。

 処理水のタンクが原発の敷地にたまり続ける状況は、…

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