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安倍晋三元首相の死去に伴い、金融市場が日銀の今後の動きに注視している。「アベノミクス」の提唱者でもある安倍氏という後ろ盾を失ったことで「大規模な金融緩和政策の修正を迫られるのではないか」という見方が広がっているためだ。2023年4月には日銀の黒田東彦総裁の任期も切れる。サプライズはあるのか、日銀や霞が関、市場関係者を取材し実情を探った。
重要人事に「異変」
7月24日、日銀の金融政策について議決権を持つ審議委員の顔ぶれに大きな動きがあった。エコノミスト出身で黒田・日銀の金融緩和路線を支えてきた片岡剛士・審議委員の任期が23日で切れ、その後任に岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長の高田創氏が就いたことだ。
日銀の金融政策は、総裁と副総裁2人、外部出身の審議委員6人の計9人で構成される「政策委員会」で議論し、多数決で決める。政策委員会人事は日銀法で「衆参両院の同意を得て内閣が任命する」と規定されており、政府が事実上の決定権を持つ。
安倍政権以降、政策委員会の人選では金融緩和に積極的な「リフレ派」が登用されてきた。しかし、岸田文雄政権下で初となる政策委員会人事で起用された高田氏は、大規模緩和の副作用を問題視するなどリフレ派とは一線を画す人物だ。
高田氏は25日の就任記者会見でも緩和路線を縮小する「出口」戦略について触れ「常に考えておくべきだ」とクギを刺した。前任の片岡氏は、現行の大規模緩和をさらに拡大すべきだと訴え、リフレ派の中でも突出した積極派だっただけにギャップが際だった。
高田氏を起用した岸田氏の真意はどこにあるのか。…
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