長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督) 歌だからできる表現も 映画「夜の女たち」をミュージカルに
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KAAT神奈川芸術劇場芸術監督の長塚圭史が同劇場で、映画「夜の女たち」(溝口健二監督)の舞台化に挑む。上演台本と演出を担う長塚にとって、初のオリジナルミュージカル。「歌だからこそ、言葉にできない、吐き出せない思いも表現できるのではないでしょうか」と話す。
溝口がメガホンを取った映画は、久板栄二郎の原作、依田義賢の脚本で1948年に公開された。主演は田中絹代。戦後間もない大阪の釜ケ崎で、病気の子どもを抱えながら、戦地から夫の帰還を待つ女性を演じた。混乱と空腹の中、彼女はやがて街娼(がいしょう)となり、偶然再会する妹や義妹も困難な人生を歩む。焼け跡で必死に生き抜く女性たちにフォーカスを当てた社会派ドラマだ。
「映画をいつ見たか、定かではありません。でも、その時の衝撃は大きかった。劇映画でありながら、ドキュメンタリー映画のようなタッチで描かれています。敗戦により、これまで信頼してきたものが転覆すると同時に、女性たちが今まで持っていなかった権利を獲得していく様が、生々しく迫ってきました」と長塚。「自分たちの国のことだとは思えないような映画ですが、勝った負けたの占領下の構造の地続きに僕らはいます。そのこと…
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