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安倍晋三元首相(67)が街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、現場で警護を担当した複数の警察官が1発目の発砲について、「タイヤの破裂音やパーティークラッカーの音と勘違いして反応できなかった」と警察庁の調査に証言していることが関係者への取材で判明した。安倍氏を退避させる前に2発目が発砲され、安倍氏に命中していた。
また、奈良県警が策定した安倍氏の「警護警備実施計画」について、警護の統括責任者だった警備部参事官が報告を受けたのは事件当日の朝だったことも明らかになった。計画の内容や警護員の練度を疑問視する指摘も出ており、警察庁は8月中にも検証結果と再発防止策を公表する見通しだ。
1発目「銃声と考えることができず」
安倍氏は7月8日午前11時29分ごろから、奈良市の近鉄大和西大寺駅北口で演説を始めた。県警は、県警本部や奈良西署で指揮する幹部を含め約25人態勢の計画を立て、このうち十数人を現場に派遣。演説場所のガードレール内では警視庁から派遣されたSP(セキュリティーポリス)を含む4人が警戒していた。
山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=はこの時、安倍氏の約15メートル右後方の歩道上で銃撃の機会をうかがい、ショルダーバッグに手製銃を隠し持っていた。演説開始から約2分20秒後。山上容疑者は車道を横切ってゆっくりと安倍氏の背後に向かい、約7メートル手前から1発目を発砲した。さらに、約5メートル手前まで前進しながら約2・7秒後に2発目を発砲。この2発目が安倍氏の左肩付近に命中した。
警察庁は事件後、警護の問題点を洗い出す「検証・見直しチーム」を県警に派遣。警護に関わった複数の警護員が聞き取り調査に対し、1発目の発砲音について「タイヤが破裂した音かクラッカーの音だと思い、銃声と考えることができなかった」と説明したという。
SPや警護員は安倍氏に飛びついて地面に伏せさせたり、防護板をかざして自らが盾となったりする動きが求められる。しかし、現場を録画した動画には1発目の発砲音後、警護員らが動き出すような様子は映っていない。2発目の直後にSPらが慌てて防護板を広げる姿は確認できるが、発砲時は間に合っていない可能性が高い。
一方、安倍氏の警護計画は演説の数時間前に警備部幹部や県警本部長が決裁し、ドタバタの中で策定されていたことも新たに分かった。
安倍氏の奈良入りが決まったのは事件前日の7日夕だった。県警は自民党側から連絡を受け、直後に演説場所を下見する「実査」を実施。関係者によると、県警本部の警備課を中心に原案が作成され、警備部参事官に提出したのは8日朝になった。警備部長、鬼塚友章本部長の順に決裁され、この過程で異論は出なかったという。
6月25日には、自民党の茂木敏充幹事長が同じガードレール内で街頭演説し、この際と同様の配置案が組まれたとされる。ある警察幹部は「何も起きなかったという慢心から前例踏襲で検討してしまったのではないか。時間が限られていたという事情はあるが、注目度の高い安倍氏の『脅威評価』も不十分だ。都市、地方問わず警護員の練度を高める対策も重要になる」と指摘した。【林みづき、吉川雄飛、高良駿輔】
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