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新型コロナウイルス感染症の自宅療養者が過去最多の109万8671人(7月27日時点)となり、2020年春の流行以降、初めて100万人を突破した。感染者の急増で、地域によって自治体からの支援物資が届かないケースも考えられる。かつてないほど感染リスクが高まっている中、自宅療養のポイントや注意点について、家庭内の感染対策に詳しい専門家、東京医療保健大学大学院の菅原えりさ教授(感染制御学)に聞いた。【聞き手・村田拓也】
厚生労働省によると、全国の感染者数は7月下旬から20万人前後で推移している。菅原教授は「第7波の特徴としてオミクロン株の感染力の強さが際立ち、今までにない爆発的な感染が起こっています。一方で、重症者が少ないのも特徴です」と指摘する。死者は連日100人を超えているものの、重症者は過去最高を記録した昨年夏の第5波(2200人前後)と比べると少ない。
菅原教授は続ける。「ワクチン接種が進み、免疫力が脆弱(ぜいじゃく)な高齢者や基礎疾患がある方がある程度守られている影響が大きいと思われます。コロナは侮ってはいけない病気ですが頭やのどの痛み、発熱など風邪症状の方が多いです。濃厚接触者の検査をしたら陽性がパラパラと出ることもあり無症状の方も多く、胸や呼吸が苦しいという方は少ない印象があります」
今年初めからの第6波で自宅療養者のピークは58万人。今回は100万人と大きく超え、下がる気配は乏しい。
感染したら陽性判明から無症状でも7日間は外出自粛が求められる。感染して自宅療養になった時、どう備えればいいのか。「まず脱水に備えた水分と食料の確保が重要です。食料は食べたい物でいいと思いますが、のどの痛みなどで通常の食事を食べられない場合もあるのでゼリーやヨーグルトなど食べやすい物を準備しておくと良いでしょう。何も食べないというのは避けるようにしたいです。発熱などの症状がある場合に備え、市販の解熱鎮痛剤やせき止め薬などを事前に購入しておくと安心です」
オミクロン株は軽症といっても発熱したり、せきがひどくなったりすることもある。気をつけるべき症状はあるのか。菅原教授は「自宅療養中の健康管理については症状の変化に気をつけることが重要です。顔色が悪い、唇が紫色になっているなどの表情や外見の変化が見られ、息が荒くなったり、意識がもうろうとしていたり、酸素飽和度の数値が95%以下を継続したりするようになったら迷わず救急車を呼びましょう」と言う。万が一に備え、可能なら酸素飽和度を測るパルスオキシメーターなども常備したいところだ。
コロナでは容体が急変することにも気をつけたい。「昨日まで水や食事がとれていたのに具合が悪くなり摂取できなくなったり、息苦しい、ひどい倦怠(けんたい)感があったりした場合にはかかりつけ医や保健所に問い合わせ、必要があれば病院に行った方が良いでしょう」と菅原教授は呼びかける。
自分は感染していなくても、家族が感染してしまうこともある。家庭内の感染予防策も尋ねた。「オミクロン株は感染力が非常に強いので注意が必要です。まず、家族の中に何らかの事情でワクチン接種を受けていない方がいた場合はその方だけホテルに泊まるなど物理的に離れることをお勧めします。ワクチン接種を受けていない方は重症化する可能性が高いためです」と注意点を教えてくれた。
具体的な予防策はどうか。「感染予防の基本は感染者と部屋を分けたり、感染者の世話をする人はできるだけ限られた人にしたりして接触を少なくすることです。また、感染者に接触する場合は世話をする人のほか、できれば感染者もマスクを着用してください。重要なのは換気です。暑い日々が続いていますが、定期的に窓を開けて空気の入れ替えを行ってください」
さらに「手洗いや消毒も重要です。特に感染者が自宅療養している場合は、共用部分のトイレは使用後に消毒したり、よく触れるドアノブや照明のスイッチ、洗面台などもまめに消毒しましょう。お風呂には感染者が最後に入り換気するようにするのがポイントです」と語る。
20歳未満の感染者は3割近くに達している。「第7波では子どもへの感染も目立ちます。看病する人を決め家庭内の感染拡大を最小限に抑えるという基本的な感染対策は大人と変わりません。子どもが一人でご飯を食べられたり、寝られたりするくらいの年齢であれば子ども部屋で隔離しても良いかもしれません」と言う。
「しかし、抱っこしなければいけないぐらいの小さい子どもの場合は、親がマスクして手洗いや換気をまめにすることで防ぐしかないでしょう。また、きょうだい同士の接触による感染リスクも高いため、接触は必要最小限にとどめた方がいいでしょう」
コロナは後遺症もあり、感染しないことが第一だ。しかし、感染者は連日20万人を超えており、感染リスクはこれまで以上に高まっている。いざという時に備え、できるだけ準備を整えておくことも必要になる。
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