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打ち上げるのは「希望の光」だ 13日、3年ぶりの関門海峡花火

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花火玉を確認する脇野さん=北九州市小倉南区のワキノアートファクトリーで2022年7月20日、大坪菜々美撮影 拡大
花火玉を確認する脇野さん=北九州市小倉南区のワキノアートファクトリーで2022年7月20日、大坪菜々美撮影

 関門海峡を挟む山口県下関市と北九州市の両岸で13日、関門海峡花火大会が開催される。2020、21年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止され、3年ぶりに大輪の花火が海峡の夜空を彩る。今年も全国的に感染が拡大する中での開催になるが、実行委員会と両市の花火師は感染終息の願いを込めて1万5000発の花火を打ち上げる。

 大会はお盆に帰省した人へのもてなしや亡き家族らを悼む思いを込めて始められ、1988年から下関市と北九州市の合同開催に。今年で35回目を迎える。第1回から北九州市側の花火大会に携わり、花火玉の製造から演出、打ち上げまでを担ってきた小倉南区の花火製造販売会社「ワキノアートファクトリー」の脇野正裕社長(52)は「新たな感動を生み出したい」と話す。

 同社は関門海峡花火大会の他にも、長崎県のハウステンボスなど全国250カ所の花火大会に携わってきた。しかし新型コロナが広がり始めた20年以降、大会中止が相次いで受注は激減。例年の2~3割に落ち込み「花火を打ち上げる現場がなく、お客さんもいないのは自分たちの存在価値がないのも同然」と不安だった当時を振り返る。

下関、北九州両岸で計1万5000発が打ち上がった関門海峡花火大会=山口県下関市阿弥陀寺町で2019年8月13日午後8時5分、佐藤緑平撮影 拡大
下関、北九州両岸で計1万5000発が打ち上がった関門海峡花火大会=山口県下関市阿弥陀寺町で2019年8月13日午後8時5分、佐藤緑平撮影

 そんな中、社員らが「花火を打ち上げたい。世の中に少しでも光を」と、地域の住民が自宅から見られる花火大会を提案。脇野さんはその思いに応え、受注がなくても自ら打ち上げることにした。花火が昔から「悪疫退散」を願って打ち上げられてきたことや「希望の光」の思いを込めた開催趣旨を地元に説明した上で、会社近くの採石場などで花火を上げてきた。

 同社の花火はコンピューター制御による電気点火を用いて、音楽とシンクロさせて打ち上げるのが特徴だ。3年ぶりの関門海峡花火大会を前に、脇野さんは静かに語る。「お客さんの歓声や感動をやりがいに、ここまでやってきている。『来年もまた来たい』。そう思ってもらうためだけに花火を打ち上げる」

 下関市側を担うのは同市上田中町の火薬会社「紺箭(こんや)銃砲火薬」。紺箭修平社長(40)は、物心がついたときから毎夏、関門海峡花火大会を見て育った。15年前からは父とともに打ち上げ現場の総指揮をとってきた。しかし、新型コロナの感染拡大で一変。「花火師として花火を打ち上げられないことに、ただただ悔しかった」。これまで約30カ所で携わってきた花火イベントも軒並み中止になった。

花火を打ち上げる際の筒を確認する紺箭さん=山口県下関市の紺箭銃砲火薬で2022年7月22日、大坪菜々美撮影 拡大
花火を打ち上げる際の筒を確認する紺箭さん=山口県下関市の紺箭銃砲火薬で2022年7月22日、大坪菜々美撮影

 それでも花火師としてできることをやってきた。20年6月には医療従事者に感謝の気持ちを伝えようと依頼を受け、関門医療センター(下関市)のヘリポートから約70発の花火を打ち上げた。サプライズで「ありがとう」のメッセージ花火も披露した。その後も花火大会の中止は相次いだが、小規模でも打ち上げを続けてきた。「貴社の心意気に夫婦で感動しました」。メッセージとともに、市民から定額給付金の一部が添えられた現金書留が届いたこともあった。

 3年ぶりの関門海峡花火大会では、下関会場で毎年の名物とされる「水中花火」のほか、直径約45センチの尺半玉をフィナーレとして2連発打ち上げる予定だ。紺箭さんは意気込む。「3年前とは違い、コロナの感染拡大で不安を感じる世の中だが、『前と変わらない花火大会でよかった。また来年も来たい』と思ってもらえたらうれしい」

時間も短縮、入場は半分に

 各地で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、山口県下関市と北九州市の両実行委員会は、感染対策のため打ち上げ時間を短縮し、入場者数も制限する。打ち上げ時間は2019年までの大会より20分短縮して、午後7時50分~午後8時20分に。観覧エリアの入場もこれまでの半分に抑え、下関側は約1万7000人、北九州側は約3万2000人に制限する。

 下関側の井上博臣大会長は「各会場に消毒液を設置し、来場前の検温と、発熱やせきといった症状がある場合は来場自粛を呼びかけるなど対策を取る。感染防止を徹底して3年ぶりの大会を安全、安心なものにしたい」と話す。【大坪菜々美】

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