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安倍晋三元首相(67)が後方から銃撃されて死亡した事件で、警察庁は5日、警備の検証作業の途中経過を公表した。警護計画について「過去の経験や知見を安易に踏襲して十分な検討がなされなかった」と指摘。後方からの襲撃や銃撃を想定した具体的な対策が取られていなかったとの認識を示した。また、後方警戒担当の警察官が前方も注視するようになった際、統括役の警察官に報告していなかったことも判明した。同庁は現場の意思疎通が不十分だったとみている。
事件は7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で発生した。
警察庁によると、奈良県警が作成した警護計画では、安倍氏の前方にいた聴衆に不審者がいないかについての警戒は重点的に検討されていた。ただ、強固な殺意を持った人物による襲撃や後方からの銃撃への想定は「非常に薄かった」という。
この場所では、6月25日に自民党の茂木敏充幹事長が街頭演説しており、安倍氏の演説でもほぼ同様の配置で対応していた。警察庁は危機レベルを厳密に考慮することなく、警護計画を作成したとみている。
一方、安倍氏が演説していたガードレール内には警視庁から派遣されたSP(セキュリティーポリス)を含む4人の警察官がおり、安倍氏の右後方に立っていた1人が後方警戒を担当していた。
事件直前、安倍氏の前方にいた聴衆が増え始めたこともあり、この警察官は前方も注視するよう指示を受けた。そのため、後方の自転車や台車などに気を配りながらも、前方を重点的に警戒することになった。
ただ、他の場所にいた統括役の警察官にはその変更は無線で伝えられておらず、一時的に後方だけを重点的に警戒する警察官がいなくなったという。警察庁の担当者は「警戒の隙(すき)を生む一因になった。報告されていれば、警戒の補強の指示などを期待できた」と話した。
また、現場にいた十数人の警察官のうち、制服を着た警察官はゼロだった。奈良県警では選挙遊説の場合、私服警官のみで対応するのが慣例になっていたが、警察庁は「制服警察官であれば抑止的な効果があった」とみている。
都道府県警が作成する首相経験者の警護計画は原則として警察庁に報告する必要はないが、警察庁の関与を強化する方向で検討していることも明らかにした。警護に関する規則を定めた「警護要則」の見直しも視野に入れているという。警察庁は今後も検証作業を進め、今月中に再発防止策と合わせて発表する方針。【松本惇】
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