「車内放置は虐待」と書いた母、なぜ再び 2児死亡、戸惑う知人

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幼児2人が車内で意識不明となり搬送された「ぼうさいの丘公園」の駐車場=神奈川県厚木市長谷で2022年7月30日午前8時22分、園部仁史撮影 拡大
幼児2人が車内で意識不明となり搬送された「ぼうさいの丘公園」の駐車場=神奈川県厚木市長谷で2022年7月30日午前8時22分、園部仁史撮影

 神奈川県厚木市の公園駐車場で幼いきょうだいが熱中症の疑いで車内から救急搬送された後に死亡した事件は5日、発生から1週間を迎えた。県警のこれまでの捜査で、保護責任者遺棄容疑で逮捕された母親が、知人男性と会うために車内にきょうだいを放置した疑いが浮上。一方、母親が子どもと遊ぶ姿も頻繁に目撃されていた。母親を知る人たちには戸惑いも広がっている。

 「子どもの面倒見がよく、一緒に遊んでいる姿をよく見かけた。悪い印象はない」。母親で無職の長沢麗奈容疑者(21)が亡くなった長男(1)、長女(2)と暮らしていたアパートの住民は事件に驚いた様子で明かした。

 県警や県によると、長沢容疑者は自身の母親ときょうだいの4人で、きょうだいが車内から搬送された「ぼうさいの丘公園」駐車場(厚木市長谷)近くのアパートで生活。今年5月末に夫と離婚し、このアパートに転居してきたという。7月ごろには、アパートの前できょうだいを簡易プールで遊ばせる姿を複数の住民が見かけていた。

 また長沢容疑者は自身のSNS(ネット交流サービス)にきょうだいが笑顔で写る写真などを投稿していた。高校時代から長沢容疑者を知る男性は「子どもをすごくかわいがっていて、いい母親をしている印象だった」と話す。

 ただ別の高校時代からの知人は「先輩か後輩かは関係なく、荒い口調でけんかしたりしていた。気性が荒いという印象がある」と語る。

長沢麗奈容疑者と長男と長女らが暮らしていたアパート=神奈川県厚木市長谷で2022年8月4日午後1時7分、牧野大輔撮影 拡大
長沢麗奈容疑者と長男と長女らが暮らしていたアパート=神奈川県厚木市長谷で2022年8月4日午後1時7分、牧野大輔撮影

 厚木署や捜査関係者によると、長沢容疑者は7月29日、厚木市内の知人男性宅を訪れ、近くの駐車場に止めた車にきょうだいを放置した。約1時間後に車に戻り、近くにある公園駐車場に移動。その場から「子どもたちの具合が悪い」と119番通報した。

 長沢容疑者は当初の調べに、「子どもたちが後ろで寝ていたので、30分ほどエンジンを切って窓を開けていた。私はスマートフォンを見ていた」などと虚偽の説明をしていた疑いが出ている。

 さらに事件から3週間前の7月8日にも、長沢容疑者は、寒川町内の駐車場に止めた車の中に長男を一時置き去りにしていたことも判明。その際、「車内放置は虐待だと理解している。二度としません」という趣旨の文書を警察に提出していた。【池田直、牧野大輔、宮島麻実、園部仁史】

きょうだい、服を着ていない状態

 「Tシャツ、短パン姿の母親が、車内の後部のスペースでおむつ姿のきょうだいの心臓マッサージをしていた」。長沢容疑者の119番通報で、「ぼうさいの丘公園」駐車場(神奈川県厚木市長谷)に駆けつけた厚木市消防本部の消防隊員3人は毎日新聞の取材に、当時の様子をこう明かした。

 消防隊員が公園に到着したのは7月29日午後5時ごろ。消防に残るデータによると、現場周辺の気温は30度を超え、湿度も約65%と高かった。「夕方まで炎天下。この夏一番といっていいほどの暑さだった」。消防隊員は振り返る。

 車には後部座席はなく、荷台のスペースになっていた。上下の服を着ていない状態であおむけに寝かされたきょうだいの意識は既になく、「長女だけ少し体が動いた」という。

 消防隊員はすぐに氷で体を冷やす措置を施した後、長男をヘリコプター、長女は救急車で病院に搬送した。長男はこの日に熱中症の疑いで死亡が確認され、長女は8月2日、熱中症に伴う多臓器不全で死亡した。【鈴木悟】

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