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本村凌二・評 『両岸の旅人』=工藤晶人・著

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『両岸の旅人』
『両岸の旅人』

 (東京大学出版会・3300円)

ユルバンからたどる地中海近代史

 戦後十年経(た)ったころの歌謡曲「カスバの女」には「ここは地の果てアルジェリア どうせカスバの夜に咲く」という切ない歌詞がある。極東の日本人には「地の果て」かもしれないが、アルジェリアは一九六二年にフランスの植民地支配を脱した北アフリカの独立国である。

 一九世紀にあって、地中海周辺の人々は政治、経済、文化の大きな構造変化を経験した。トクヴィルやマルクスと同じ時代に生きた人々のなかに、仏領アルジェリアの官吏となり、栄達も望まれながら、日陰の人で終わった男がいた。

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