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渡辺保・評 『渾沌の恋人 北斎の波、芭蕉の興』=恩田侑布子・著

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『渾沌の恋人(ラマン)』
『渾沌の恋人(ラマン)』

 ◆『渾沌(こんとん)の恋人(ラマン) 北斎の波、芭蕉の興』

 (春秋社・2530円)

入れ子構造から広がる多面的世界

 斬新な日本文化論が現れた。

 たとえばここに芭蕉の句がある。

  雲の峯(みね)幾(いく)つ崩(くづれ)て月の山

 芭蕉四十六歳の、山形県の月山の景色の句である。著者自身がこの句の、一般的として引用した井本農一の解釈は次の通り。

 「高い雲の峰が夕日に映えている。月山を仰ぎ見れば、空には淡い月がかかっている。この夕暮の月のさす月山になるまで、雲の峰は幾つ立っては崩れ、崩れては立ったことであろうか」(井本農一ほか校注・訳『芭蕉文集 去来抄』小学館刊)

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