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アートの扉

国内各地の美術館が所蔵するイチオシの作品や、特設展の見どころを紹介します。

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板谷波山 葆光彩磁花卉文花瓶 光を包む美、追い求め

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1928年ごろ、高さ23・4センチメートル、出光美術館蔵
1928年ごろ、高さ23・4センチメートル、出光美術館蔵

葆光(ほこう)彩磁花卉(かさ)文花瓶

 うす暗い展示室でそれは自ら光を放つかのようだった。近現代の陶芸をリードした板谷波山の代表作。100年近く前に作られたものとは思えないほどモダンでもある。

 板谷はやきものの美を追究するなかで葆光(ほこう)彩磁という技法を見いだした。葆光とは「光を隠す、包む」の意。彩色した磁器に自ら調合した「葆光釉(ゆう)」をかけて焼くと、全体を薄布で覆ったようなサラサラとしたやさしい表情が生まれる。マットな器表にぼんやりと浮かぶのは彫って表したモクレン、梅、サザンカだ。

 東京美術学校彫刻科で岡倉天心らに学んだ板谷は卒業後、石川県工業学校に彫刻の教師として赴任。ところが学科改編に伴いやきものを教えることになる。このころ積んだ研さんが陶芸家への道をひらいた。上京後は、東京高等工業学校(現・東京工業大)に嘱託として籍を置き、作陶した。釉薬を開発したり、アール・ヌーボーといった海外の最新様式に触れ、作品に取り入れられたりしたのは、こうしてアカデミックな環境に身を置けたか…

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