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回復/修復に向かう表現 美術館で語り合う大量投獄の時代/上 「監獄」展覧会、米国を反映

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Tameca Cole, Locked in a Dark Calm, 2016. Collage and graphite on paper. 8 1/2 x 11 inches. Collection Ellen Driscoll. Courtesy MoMA PS1
Tameca Cole, Locked in a Dark Calm, 2016. Collage and graphite on paper. 8 1/2 x 11 inches. Collection Ellen Driscoll. Courtesy MoMA PS1

 なんともダークで奇抜な作品に、ギョッとした。灰色の顔の輪郭からのぞく、黒い皮膚を切り取った目と鼻と口。大きな右の目がこちらを見据え、左の目はうつろでどこか遠くを見ている。悲しげで、おびえているようでもあるが、挑戦的でもあり、どこか黒人奴隷の苦悩を思わせる。

 これは、米ニューヨーク市クイーンズ地区にあるニューヨーク近代美術館(MoMA)の提携アート施設「MoMA PS1」で2020年9月から21年4月まで開かれていた展覧会「時を刻むということ 大量投獄時代におけるアート(Marking Time: Art in the Age of Mass Incarceration)」で展示された作品の一つで、女性受刑者による作品だ。

 米国には現在、およそ230万人もの受刑者が存在する。刑務所の数も、受刑者の人口比も世界一。それを大量投獄時代と呼び、米国の現代アートをけん引する美術館のMoMAの関連施設で、大規模な展覧会が企画されること自体が、刑務所大国としての米国社会を反映しているともいえる。

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