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高橋智史が撮る故郷・秋田

「第38回土門拳賞」受賞者のフォトジャーナリスト・高橋智史氏が撮影した、故郷・秋田をテーマにした作品を紹介します。

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高橋智史が撮る故郷・秋田

受け継がれしものたち 秋田・土崎港曳山まつり 港魂復活 /秋田

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まつり2日目に行われる「御幸(みゆき)曳山」で、曳山を引っ張る愛宕町の人たち=秋田市の土崎地区で7月21日撮影
まつり2日目に行われる「御幸(みゆき)曳山」で、曳山を引っ張る愛宕町の人たち=秋田市の土崎地区で7月21日撮影

 江戸期から続く「土崎神明社」の例大祭である国重要無形民俗文化財「土崎神明社祭の曳山(ひきやま)行事」(土崎港曳山まつり)。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されている伝統のまつりが、新型コロナウイルス感染拡大による中止を経て、土崎地区で3年ぶりに開催された。

 胸の高鳴りを覚えながら、今年、曳山を奉納した19町内の一つ「愛宕町」の会所に、私は向かった。午前8時20分。「ドードコ、ドードコセ」と、曳山の発進を告げる「音頭上げ」を、船頭役である「音頭取り」が威勢よく歌い上げると、武者人形が飾られた約3トンの巨大な曳山が動き出した。情緒あふれる「港ばやし」の音色とともに、曳子たちの「ジョヤサ! ジョヤサ!」のかけ声が響き渡る。

 曳山が動き始めると、「ギー」という独特の、木造の台車がきしむ重厚な音が空気を振るわせる。そして、独自に配合された軽油が車輪に注がれ、油の匂いが漂っていく。その全てが混然一体となって、まつりを構成し、沸き立つ熱気に港町は包まれていく。

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