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学力テストと格差 教師のスキル底上げ急務

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 小学6年生と中学3年生を対象とした今年の全国学力テストの結果を文部科学省が公表した。

 新しい学習指導要領は「自ら課題を発見して解決する力」の育成を掲げている。中学校ではこれに対応した初のテストとなった。

 例年実施されている国語と算数・数学に、理科が4年ぶりに加わった。知識だけでなく、データの活用力や科学的な思考力を問う出題が目立った。

 しかし、こうした問題の成績は振るわなかった。中でも、中学校の理科では、全21問の平均正答率が49・7%にとどまった。前回より16・8ポイントもの低下だ。

 テストに合わせ、学校や児童生徒を対象に実施したアンケートの結果から、教育現場の課題が浮き彫りになっている。

 「理科では、自分の予想や仮説をもとに、観察や実験の計画を立てられるよう指導している」と答えた学校で、正答率が高いとは必ずしも言えなかった。

 実際には、新指導要領に対応した授業ができていないケースが少なくないということだ。

 出題に携わった国立教育政策研究所の担当者は「教師の間で指導力にばらつきがあるためではないか」と分析している。

 指導の質に差が生じないように教師の研修を充実させ、スキルを底上げすることが急務だ。そのためには、大きな負担となっている事務作業を減らすなど、職場環境の改善が欠かせない。

 学校間や地域間の格差も目立つ。「自分の考えが伝わるよう、生徒が工夫して発表する授業」を十分にできていないと答えた中学校は2割に上った。都道府県によって正答率に開きもある。

 学校や地域ごとに課題を洗い出し、授業の質向上に生かす必要がある。

 子どもの学力は、家庭での生活習慣とも関係している。

 SNS(ネット交流サービス)や動画サイトを利用する時間が長い子どもほど、正答率が低い傾向が見られた。一方、読書が好きな子どもは国語だけでなく、算数・数学や理科の正答率も高かった。

 取り巻く環境によって子どもに教育格差が生まれないよう、学校と家庭が連携し、学びを支えていきたい。

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