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ロシアに代わる新たなエネルギー供給源 アフリカに伸びる大国の手

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海岸浸食が深刻な砂浜=セネガル・サンルイで2022年6月22日午前10時58分、平野光芳撮影
海岸浸食が深刻な砂浜=セネガル・サンルイで2022年6月22日午前10時58分、平野光芳撮影

 ロシアのウクライナ侵攻は世界のエネルギー事情を一変させた。ロシアから送られる天然ガスに頼ってきたドイツは、エネルギーの脱ロシアを図ろうと、アフリカのある国に手を伸ばしている。

 アフリカ西部、人口1700万人のセネガル。大西洋に面した北部の港町サンルイの海岸線を歩くと、無残に崩れた学校や住宅が見えた。増加する高波によって破壊された建物だ。気候変動が関係しているとみられ、高波などによる海岸浸食も深刻化している。フランス植民地時代の面影を残すサンルイの町並みはユネスコの世界文化遺産にも登録されているが、今後海面上昇が進めば、町は存亡の危機に立たされる。

 砂浜から車で25分ほど走った郊外には、白い小屋が整然と並ぶ集落があった。海岸浸食により海辺に住めなくなった漁師やその家族のために、政府が3年前に整備した仮設住宅だという。約900世帯4200人が暮らし、漁師は毎日、バスで港まで行って漁に出る。不便な上に漁獲高も落ちており、加えてロシアのウクライナ侵攻のあおりで船の燃料価格は高騰している。「移住前の生活水準を100とすれば、今は10。それくらいひどい」。仮設住宅に住むムムドゥ・チャムさん(56)は嘆いた。

セネガルのガス権益狙う独

 そんなセネガルの空港に、約4600キロ離れたドイツのショルツ首相が降り立ったのは5月22日のことだった。政府専用機から降りると、出迎えたサル大統領と固い握手を交わした。

 セネガルから隣国モーリタニアにかけての大西洋沖では2014年以降、大規模な海底油田・ガス田が相次いで発見されている。しかしセネガルには採掘に必要な資金や技術はなく、開発は欧米などの外資頼みだ。サンルイの沖でもすでに英石油大手BPなどが天然ガス田を開発中だ。沖合約100キロ、水深3000メートルの海底に設置した井戸から天然ガスを採掘し、沖合10キロに建設中の精製施設までパイプラインで運んだ後、船上で液化して輸出する。23年にも液化天然ガス(LNG)の生産が始まる予定だ。

 21年12月に首相に就任したショルツ氏がアフリカの最初の訪問国としてセネガルを選んだのは、ロシアに代わる天然ガスの輸入元の確保が大きな理由だった。未開発の鉱区に開発段階から関与することで、天然ガスの権益確保を狙っているとみられている。

 ロイター通信によると、ショルツ氏はサル氏との首脳会談後、エネルギー開発は両国の利益にかなっているとして、今後「集中的に取り組む」と強調。サル氏も「ドイツと一緒に仕事をすることを強く望む」と期待感を示した。

周到な「合意違反」回避

 ドイツは21年、他の38の国や機関とともに、天然ガスを含む海外の化石燃料事業への公的支援を22年末までに原則停止することを表明している。セネガルでのガス田開発に乗り出せば、この合意に反する可能性がある。

 だが、自ら議長国を務めた6月末の主要7カ国首脳会議(G7サミット…

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