本州の真ん中でコーヒーの有機栽培 挑戦の先に描く「未来」

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コーヒーの木の栽培に取り組む前田興治さん=滋賀県守山市服部町の環境総合管理機構守山農場で2022年5月28日午後3時26分、菅健吾撮影
コーヒーの木の栽培に取り組む前田興治さん=滋賀県守山市服部町の環境総合管理機構守山農場で2022年5月28日午後3時26分、菅健吾撮影

 ブラジル、ベトナム、エチオピア――。コーヒーの栽培は中南米や東南アジア、アフリカなど赤道を挟んで南緯25度から北緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる熱帯地域に集中するが、日本の本州の真ん中で無農薬有機栽培に挑戦する人たちがいる。北緯35度、冬には降雪もある不利な地域でなぜコーヒー栽培を目指すのか。琵琶湖の南東、滋賀県守山市服部町にある「守山農場」を訪ねた。

「変わった農園」で汗

 琵琶湖に注ぐ野洲川から広がる平野の一角にビニールハウスならぬ、ガラスハウスが建ち並ぶ。かつて温室栽培に使われていたらしい築50年ほどの古い建屋の内部を改装し、約200本のコーヒーの木を育てている。「普通の農園では取り入れない品目を特殊なやり方で栽培している『変わった農園』です。苦労もありますが、やりがいもあります」。農場の責任者、前田興治(おきはる)さん(58)=同県近江八幡市=が高温に保たれたハウスで額に汗を流しながら出迎えてくれた。

 前田さんによると、コーヒーは日本でも小笠原諸島や沖縄県の一部で栽培されているが、九州以北では北海道で温泉熱を利用したものや岡山県でハウス栽培が成功した事例などがある程度で極めて限られているという。守山市はある程度の日照時間を確保できるものの、冬は雪が降ることもあり、栽培適地とはいえない。

 それにもかかわらず、なぜこの地でコーヒー栽培を…

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