「何で私は『ストロー』が言えないんだ」 俳優、笹丘明里さんの告白
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恥ずかしくて、切なくて。ずっと人には言わずにきたが、打ち明けることにした。テレビドラマや舞台を中心に活動する俳優、笹丘明里さん(32)は、言葉が出にくい吃音(きつおん)がある。約3年半前にカミングアウトし、動画投稿サイト「ユーチューブ」などで吃音について理解を広めている。たまたま目にした二つの記事をきっかけに、気持ちが変わったという。【遠藤大志】
原因は緊張や不安ばかりではない
「吃音の人がいたら最後まで優しく話を聞いてあげてほしい」。ビデオカメラに向かって持ち前の柔らかな表情と声で呼びかける。グルメや美容などの話題とともに、吃音を知ってもらう動画も定期的に新たなものを公開している。ユーチューブにアップする動画は撮影から編集作業まで全て自分でこなす。
吃音は、言語障害の一つで人口の1%が持つとされる。連発(わわわたしは)、伸発(わーーーたしは)、難発(………わたしは)といった症状がある。特定の言葉が出づらかったり、出せなかったりする人も多い。必ずしも緊張や不安が原因でどもるわけではなく、置かれた場面や心身の状態によって、流ちょうに話せなくなる人もいる。
音読やリラックスしている時に症状
笹丘さんは、主に連発や難発がある。リラックスしていたり、家族と一緒に居たりするときはどもるが、テレビカメラや撮影現場ではほぼ症状が出ない。「仕事になると、スイッチが入る感じです」。自分でも理由はうまく説明できない。ユーチューブの動画を撮影するときも、どもっている自分を知ってもらうことができないため、家族と旅行中の会話を撮影したビデオなどを織り込んでいる。
吃音を意識し始めたのは小学校に入ってからだ。すぐに「みんなはしゃべるのが上手だ」と気付いた。一方の自分は国語の授業でも音読ができない。教科書を開いても平仮名も読めずにいる姿に驚かれた。教室に流れる沈黙を破るように、男の子から「何で読めないんだよ」とヤジが飛ぶこともあった。
「喉にふたをされているような感覚」
小学2年生の時に今の仕事へとつながる転機が訪れる。父の黒…
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