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「演劇の言葉」と戦争を考える=谷賢一 劇作家・演出家

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 前々から一度「戦争反対」ではなく「戦争賛成」の劇を書いてみたいと考えていた。私は元々意志薄弱だ。同調圧力にも弱い。今マスクをつけているのもワクチンを打っているのも自分の意志……だと思いたいが、世間に流されていないとは言えない。非常に世間を恐れている。しかしそれは私だけではあるまい。このコロナ禍で世間の声の大きさ、強さ、暴力性にヒヤッとした人は多いはずだ。

 そんな意志薄弱で付和雷同の私は、周囲が皆次々と「一死報国!」「八紘(はっこう)一宇!」「進め一億火の玉だ!」と叫び始めたら黙っていられるか非常に怪しい。気がついたら「お国のために!」と声をそろえて絶叫しているかもしれない。そんなふうに徐々に戦争賛成に回ってしまう空気や心理を劇に書いてみたいと思ったのだ。ユダヤ人の政治哲学者ハンナ・アーレントは、ホロコーストを生み出したのは「凡庸な悪」だと書いた。…

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