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内閣改造と旧統一教会 これでは決別ができない

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 第2次岸田改造内閣がきのう発足した。

 今回の内閣改造と自民党役員人事で問われたのは、政府・自民党が、宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と明確に決別できるかどうかだった。

 安倍晋三元首相への銃撃事件をきっかけに、教団と多くの自民党議員の浅からぬ関係が相次いで明らかになった。先の参院選で大勝したにもかかわらず、岸田文雄内閣の支持率が急落しているのは、その影響が大きい。

 岸田首相は、教団の問題への対応をアピールする必要に迫られ、9月初旬とみられていた内閣改造を大幅に前倒しした。

 今回の改造では、教団関連団体のイベントへの出席など、関わりがあったことを認めた7人の閣僚が閣外へ去った。

見えない脱「安倍政治」

 ただ、萩生田光一政調会長や山際大志郎経済再生担当相、再入閣した加藤勝信厚生労働相らも、過去に教団との接点があったことを認めている。

 首相は記者会見で、「教団との関係を点検し、厳正に見直すことを了承した者のみを閣僚に任命した」と説明した。

 しかし、関係があった閣僚や党幹部は「相手が教団の関係団体とは知らなかった」「これからは付き合わない」などと言うだけだ。これでは、国民の不信は払拭(ふっしょく)できない。

 疑念を持たれているのは、自民党議員が選挙支援を受けることなどと引き換えに、教団の活動に事実上の「お墨付き」を与えてきたのではないかという点である。その結果、霊感商法や高額献金などの被害が続いた可能性がある。

 文化庁が2015年に教団の名称変更を認めた経緯も明らかになっていない。当時、文部科学相だった下村博文衆院議員は関与を否定しているが、元文科省幹部は「政治的な力が働いた」との見方を示している。

 安倍氏の国葬に対しても、国民の間で反対意見が広がっている。安倍氏と教団の長年のつながりが指摘されたことが影響しているとみられる。

 首相は当初、個々の議員が説明すべき問題だと傍観していたが、支持率低下を受けて急きょ、教団との関係を点検して見直すよう、全ての党所属議員に指示した。

 しかし、点検の基準や結果を公表するかどうかは各議員任せで、「見直し」が何を意味するのかについても曖昧だ。

 党総裁として、半世紀に及ぶ教団と党所属議員のつながりを検証し、関係を清算させるべきだ。

 今回の内閣改造は、岸田政権に大きな影響力を行使した安倍氏が死去してから、わずか1カ月後の人事である。

 首相は、安倍氏と最大派閥の安倍派に配慮し続けてきた。格差是正を目指す看板政策「新しい資本主義」を、成長重視のアベノミクス寄りに軌道修正した。防衛費の大幅増額方針も打ち出した。

早く臨時国会で説明を

 安倍・菅政権時代の政策にほころびが指摘される中、首相が人事を通じて独自の方向性を示せるかも注目されていた。

 だが首相は、主要派閥に配分する閣僚ポストの数をほぼ変えず、各派の要望に応じて9人を初入閣させた。安倍氏の後押しを受けて首相と総裁の座を争った高市早苗前政調会長も、経済安全保障担当相として閣内に取り込んだ。

 党の要職には派閥領袖(りょうしゅう)3人を配置し、安倍派の萩生田氏を政調会長に登用することで同派に配慮を示した。

 首相は新型コロナウイルスの感染拡大、物価高、ウクライナ危機や台湾情勢、防衛力強化などを挙げ、「有事に対応する政策断行内閣として、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用した」と強調した。

 しかし内閣や党幹部の顔ぶれを見れば、派閥均衡と保守層への配慮という「内向きの論理」が優先された形だ。懸案にどう取り組むのかという戦略は見えない。

 与党は先の臨時国会をわずか3日間で閉じ、実質審議を秋の臨時国会に先送りした。国葬やコロナなどに関しては閉会中審査を行う方針だが、質疑時間は限られる。「丁寧に説明した」という形だけ整えることで終わりかねない。

 岸田政権は早急に国会を開くべきだ。首相には旧統一教会の問題を含め、国民の疑問に答えるとともに、目指すべき日本の針路を示す責任がある。

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