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アフガン政権崩壊

イスラム主義組織タリバンが2021年8月15日、首都カブールを制圧し、勝利宣言。ガニ政権が崩壊しました。

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アフガンで続く秘密の教室 タリバン復権1年 少女が描く未来

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イスラム主義組織タリバンから隠れて少女たちが学ぶ教室=アフガニスタン東部で2022年8月3日午後2時49分、川上珠実撮影
イスラム主義組織タリバンから隠れて少女たちが学ぶ教室=アフガニスタン東部で2022年8月3日午後2時49分、川上珠実撮影

 タリバン暫定政権が実権を掌握してから15日で1年となるアフガン市民の生活を報告する。

 その教室はアフガニスタン東部の都市郊外にある小さな集落の一角にあった。「私たちの名前は伏せて、写真は顔が写らないように後ろから撮ってください」

 教師を務めるシドラさん(仮名、28歳)に案内され、小さな庭を備えた民家の一室に入った。シドラさんは記者を中に入れると、素早くドアを閉めた。

 40平方メートルほどの部屋にいたのは床に座った約30人の少女たちだ。色とりどりのベールの下からのぞくまなざしが、英文法を教えるシドラさんとホワイトボードに注がれる。中等学校(日本の中学、高校に相当)の世代の他、部屋の後方には、まだベールをかぶらない幼い子どもたちの姿もある。近隣の小学校の児童で、放課後に通ってくるという。

 4冊しかない教科書は教師用。少女らは膝に抱えたノートにペンを走らせる。

 アフガンでは2021年8月、イスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧し、約20年ぶりに政権の座に戻った。前回政権(1996~01年)で女子教育を制限して国際的に批判を浴びたタリバンについては、女子教育を巡る対応が国際社会に受け入れられるかどうかの試金石だった。しかし、今年3月に予定されていた女子の中等学校の再開は延期されたままだ。

「娘に教育を」相談絶えず

 そんな中、各地でひそかに教壇に立つ女性たちがいる。タリバン復権以降、休校になっている女子高校の教師、シドラさんもその一人だ。記者が8月上旬に訪ねた教室で、3カ月前から週6日、英語と現地のダリ語、数学を無料で教える。「もしタリバンが来たら、『コーランの勉強をしていると言おう』と少女たちと決めています」と声をひそめる。

 「勉強できる場所がなくなって本当に悲しかった。私はこの教室に来ることができたけれど、家でじっとしているだけの子もいる」と教室に通う生徒(15)は話す。「自分の世界を広げたい。教育は一人一人のためだけでなく、私たちの社会を発展させるために必要なんです」と訴える。

 月5000アフガニ(約7300円)の家賃のほか、ノートやペン代はシドラさんの親族らが工面している。元教育省職…

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【アフガン政権崩壊】

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