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日野自動車の不正拡大 歴代経営陣の責任は重い

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 約20年前から排出ガスなどエンジンのデータ改ざんを繰り返し、国に虚偽の報告までしていた。不正の常態化を招いた歴代経営陣の責任は極めて重い。

 今年3月に公表された日野自動車のデータ改ざん問題を巡り、弁護士らでつくる特別調査委員会が報告書をまとめた。不正の背景に「上意下達で上に物を言えない」組織風土があると批判した。

 不正は少なくとも2003年には行われていた。排出ガスのデータを書き換えたり、測定機器を操作して燃費を実態より良く見せたりするなどの手口だ。

 現行のエンジンでは、3月の公表分を含めて14機種のうち13機種で不正が判明した。問題のエンジンを積むトラックなどは56万7000台に上り、当初発表時の5倍に膨らんだ。

 三菱自動車による燃費データ改ざんが発覚した16年には、国土交通省の調査に対し、「不適切な事案はない」と虚偽の報告をしていたことも分かった。

 不正に関わっていたのは、エンジンの性能試験を担当する部署だ。担当役員や他部署が試験の内容や必要な作業時間を理解せず、開発スケジュールに追われる中で起きた。

 技術的な裏付けがないまま副社長らが製品化の話を進め、担当部署が燃費の数値のつじつま合わせを迫られた格好だ。

 風通しの悪い組織風土は、従業員を対象にしたアンケートの結果からもうかがえる。

 「『できません』は言えず、『やるのが当たり前』の文化」「イエスマンが昇格する」などの声が寄せられた。報告書は「パワハラ体質」と指摘した。

 調査委によれば、経営陣が不正を認識していた証拠はないという。だが、組織運営に問題があったのは明らかだ。再発防止と顧客の信頼回復には、経営責任を明確にすることが不可欠だ。

 トヨタ自動車は01年に日野を子会社化し、社長を送り込んできた。親会社としてガバナンス(企業統治)を強化する必要がある。

 業界ではここ数年、スズキや日産自動車などでもデータ改ざんが相次いでいる。国交省には、不正を見逃さない審査体制づくりが求められる。

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