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大谷選手104年ぶり偉業 「野球の神様」と肩並べた

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 104年ぶりの歴史的偉業である。投打の「二刀流」で活躍する米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、伝説の名選手、ベーブ・ルース以来となる「2桁勝利、2桁本塁打」を達成した。

 ルースはレッドソックス時代の1918年に13勝を挙げ、11本塁打を打って本塁打王になった。

 大谷選手は昨年、46本塁打を放ちながらも9勝止まりだった。今年も打撃は好調で前半戦から本塁打を重ねた。投手としては打線の援護がなく勝ち星に届かないことも多かったが、9日の試合でついに10勝目を挙げた。

 投打両方の成績でルースと肩を並べる選手は1世紀もの間、現れなかった。求められる技術や戦術のレベルが上がり、それに合わせて選手の専門化が進んだためだ。

 象徴的なのは73年にアメリカン・リーグで指名打者(DH)制度が採用されたことだろう。守備には就かず、投手の代わりに打席に立つ打撃専門の選手だ。

 だが、大谷選手はこの制度を活用して才能を開花させた。登板しない日はDHとして打席に立てる。野手として守備に就く必要がなく、肉体的な負担も軽くなる。

 今年からは降板した後もDHで打順に残れるルールが導入された。「大谷ルール」とも呼ばれ、打撃の機会が増えたことも好成績を後押しした。

 米国人教師、ホーレス・ウィルソンによって日本に野球が伝えられてから今年で150年になる。

 野球文化の日米比較で知られる米国人ジャーナリスト、ロバート・ホワイティング氏は著書で「イチローと大谷のキャリアは、日米間の長い野球交流史の中でも頂点に立っている」と記している。

 イチロー選手は2004年、戦前の強打者、ジョージ・シスラーのシーズン最多安打記録を84年ぶりに塗り替えた。

 投打での快挙達成に大谷選手は「単純に二つやっている人がいなかっただけ」と謙遜したが、対戦相手の監督は「彼は唯一無二の存在だ」と称賛した。

 いつも全力でプレーする姿は、ベースボールが本来持つ躍動感を体現している。まだ28歳だ。「野球の神様」と呼ばれたルースのように、二刀流で日米のファンを魅了し続けてほしい。

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