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満鉄副総裁が愛した燕岳 軍と対立、罷免後も真っ先に登る

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燕岳山頂(左奥)の南の尾根に立つ江口定条氏=燕山荘提供
燕岳山頂(左奥)の南の尾根に立つ江口定条氏=燕山荘提供

 北アルプスの燕岳(つばくろだけ)(長野県、2763メートル)に建つ山小屋「燕山荘(えんざんそう)」にたびたび泊まったのは、戦前の南満州鉄道(満鉄)で副総裁を務めた江口定条(さだえ)氏(1865~1946年)。小屋主の赤沼千尋(ちひろ)氏(1896~1979年)の著書「山の天辺(てっぺん)」によると、「軍とケンカして満鉄をやめた時もやって来た」。

 初めて訪れたのは、建設翌年の1922年。悪天候が3日続き、若い赤沼氏といろりを囲んで気ままに話し、「友達付き合いのような親子付き合いのような関係が始まった」。

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