老舗の後継者不足に秘策 人口8400人の宮崎県高原町の挑戦

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宮崎県高原町内で唯一のラーメン店「ムラタ拉麺」をオープンさせた村田健さん=同町で2022年7月15日午前11時17分、一宮俊介撮影
宮崎県高原町内で唯一のラーメン店「ムラタ拉麺」をオープンさせた村田健さん=同町で2022年7月15日午前11時17分、一宮俊介撮影

 「長年のご愛顧ありがとうございました」。街を歩くと、閉店を知らせるこんな張り紙を見かけることが増えてきた。地方都市では、高齢化に伴う後継者不足などで地元に愛されてきた老舗が店をたたむというのはよくある話だ。そんな中、事業承継のチャンスを新たな秘策で広げようとしている小さな町が宮崎県にある。

 「麺あがりまーす」「ヨイショー」。麺を湯切りする度に従業員の威勢の良いかけ声が店内に響き渡る。宮崎県の南西部に位置する人口約8400人の高原町(たかはるちょう)。7月15日、この町で唯一のラーメン店「ムラタ拉麺」がオープンした。

 開店初日から地域住民らが続々とのれんをくぐった。チャーシューメンを食べ終えた町内に住む小村フクエさん(74)は「スープがすごくおいしかった。スタッフの若い声を聞くとこちらも力が出る」とマスク越しに笑顔を見せた。

 店主は、高原町出身の村田健(たける)さん(40)。2021年末、町内にあった2軒のラーメン店が店主の高齢化などで相次いで閉店したことを知った。「町に一軒もラーメン屋がないということは、逆にビジネスチャンスかもしれない」。ラーメン店の灯を消すまいという使命感とともに商機をみた。

 これまで宮崎市で宮崎県産の野菜などをネット販売する「ムラタ青果店」を営み、飲食店経営の経験はなかったという村田さん。町役場に相談すると、2店のうち21年夏に閉店した「光来軒(こうらいけん)」の元店主が後継ぎを募集していると教えてくれた。

 町が村田さんに元店主を紹介できたのは、事業承継を希…

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