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ビジネスの最前線で活躍してきた人材が無料で経営相談に応じる、「ビズモデル」として知られる全国の中小企業支援施設18カ所が、全国ネットワークを結成して連携に乗り出した。新型コロナウイルス禍に円安、物価高騰と厳しい経営環境を乗り越えるべく、全国の中小企業のアイデアや技術力を結びつけ、新たなビジネスチャンスを生み出している。
東日本大震災で1400人を超える犠牲者を出した宮城県気仙沼市。7月26日、大阪府から7人の中小企業経営者がツアーで訪れた。「覚悟を決めて必死に取り組めば道は開ける」。同市の老舗酒造会社、男山本店の菅原昭彦社長(60)が振り返る復興の歩みに聴き入った。
ツアーは大阪府岸和田市の旅行会社、トラベルウェーヴ関西(従業員7人)が、コロナ禍などの難局を乗り越えるすべを復興経験に学ぼうと企画した。講師役は、男山本店のほか、被災した造船5社が合併した造船会社や、がれきとなった街を再建してきた建設会社の社長たち。いずれも地域経済を支え続けてきた。
トラベル社はこれまでも防災を学ぶ東北の被災地ツアーを実施していた。だが、新型コロナの影響で一時は売り上げが9割減り、借り入れも膨らんだ。
半年ほど前、同社から相談を受けた岸和田ビジネスサポートセンター(キシビズ)は、コロナに苦しむ多くの経営者が学びを得られるツアーを提案。水産業のまちとして関連企業が集積する気仙沼市を候補に挙げた。
「コロナ禍で苦しい思いをしてきたので自分も学びたかったし、同じように考える経営者は大勢いると思った」(トラベル社担当者)。キシビズが2021年6月に開設された気仙沼ビジネスサポートセンター(気仙沼ビズ)に協力要請したところ、地元の経営者3人の快諾を得られた。
主催者側の狙い通りツアー参加者は3人の話に鼓舞されていた。堺市でプラスチック加工会社を営む関口泰之社長(55)は「生ぬるい話じゃなかった。生死に関わる体験から復興に挑む強い意志を感じた」と力を込めた。
トラベル社は気仙沼ツアーの継続開催を考えている。角家篤社長(61)は「団体や企業の研修などで関西から新しい人の流れを作りたい」と見据える。仲介役となった気仙沼ビズの吉沢貴幸センター長(53)は「来訪者が増えれば経済復興に役立つ。連携はダイナミックな効果を得られる」と期待した。
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