- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

豊富なビジネス経験を持つセンター長が無料で経営相談に応じ、各地で成果を上げている中小企業支援形態「ビズモデル」の創始者、小出宗昭さん(63)に、中小企業の現状や全国ビズネットワークの意義を聞いた。【聞き手・高橋秀郎】
――中小企業の経営環境をどうみますか。
◆産業支援に携わって21年間、相談を受けた企業は7000~8000社。リーマン・ショックや東日本大震災を経験したが、新型コロナのダメージは前例がない。政府のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)は一定の成果を上げ、倒産件数は歴史的な低水準だ。しかし、コロナ禍は長引き、円安や原材料高が追い打ちをかけ、幅広い業種に悪影響が広がった。融資の返済も始まり、追加融資を断られて資金繰りに行き詰まった企業から深刻な相談が増え始めた。懸念された事態が表面化してきた。支援機関は真価が問われている。
――ネットワークによる地域連携の狙いは。
◆コロナ禍でより高度な支援を求められた。融資の返済余力を生み出すのは、売り上げ増しかない。世界的に低い日本の賃金水準を是正するのにも商品やサービスの付加価値向上が不可欠だ。ビズは自治体の資金で運営しているので基本的に地域内企業を対象にしているが、センター長らは各分野のトップランナーで質が高い。知恵や人脈を集めれば多種多様な相談に答えられ、企業同士のコラボレーションも活発化する。リモート会議の普及も役立ち、成果は着実に出始めた。自治体の反応も前向きだ。
――小出さんはビズモデルの発祥となる静岡県富士市産業支援センター「エフビズ」を運営していたが、国の制度を利用して中小企業に派遣した専門家の不正受給が判明し、2020年に管理責任を取って撤退した。その後も産業支援に取り組む真意は。
◆エフビズは、公的機関であり、全国の産業支援センターの中でも突出した存在だったので、最も厳しい責任の取り方を決断した。…
この記事は有料記事です。
残り353文字(全文1149文字)