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日韓関係と徴用工問題 事態打開へ双方が動く時

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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が、日本との関係改善に取り組む意欲を繰り返し表明している。

 植民地支配からの解放を記念する15日の演説では、日本を「自由を脅かす挑戦に立ち向かい、共に力を合わせていかなければならない隣国」と位置付けた。

 共通の同盟国である米国を加えた日米韓の連携強化が安全保障上、重要だという立場だ。文在寅(ムンジェイン)前政権下で悪化した対日関係を立て直そうとしている。

 最大の障害は徴用工問題だ。差し押さえられた日本企業の資産売却が実行されれば、日本政府は対抗措置を取らざるをえない。

 尹氏は就任100日の記者会見で、「日本政府が憂慮する主権問題と衝突せず、債権者も補償を受けられる解決案を検討中だ」と述べた。外交問題にしない決意を示したものと言え、評価できる。

 韓国の政権にとって、日本との歴史問題は慎重な対応を要する課題だ。世論の理解を得られなければ政権批判の材料とされる。尹氏は支持率が低迷する中、徴用工問題の解決を図ろうとする姿勢を変えていない。

 気掛かりなのは、呼応する動きが日本政府に見られないことだ。

 韓国への深い不信感が背景にある。しかし徴用工問題の解決案が日の目を見なければ、日本にとっても大きな損失となる。

 事態打開のため、日本としてできることを探る必要がある。まずは、韓国の貿易管理体制に不備があるとの理由で3年前に導入した半導体関連の輸出規制の見直しに取り組んではどうか。

 韓国は、徴用工問題に対する不当な対抗措置だと世界貿易機関(WTO)に提訴したが、実質的な審理は始まっていない。一方で日本の要求を受け入れ、貿易管理体制を強化した。

 韓国の提訴取り下げと引き換えに、日本が韓国の体制強化を正当に評価すれば、こう着状態を脱する糸口になるのではないか。

 米中対立の激化やロシアのウクライナ侵攻で、国際情勢は厳しさを増している。日韓の協力強化が必要なことは論をまたない。

 極度に悪化した国家間の関係を一方の努力だけで改善するのは難しい。両国が歩調を合わせ、動く時である。

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